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キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
<実証試験レポート>災害レジリエンス(強靭性)で評価する屋上緑化
2026年6月10日
屋上緑化システム株式会社
山下 律正
<実証試験レポート>
災害レジリエンス(強靭性)で評価する屋上緑化
PVP四季彩4キリンソウ土壌消失後797日生存―屋上緑化の新たな耐災害性能
はじめに
激甚化する豪雨・台風に対し、屋上緑化はどこまで耐えられるのか
近年、気候変動の影響により台風の大型化や線状降水帯による集中豪雨が頻発しています。
建築分野においても、屋上緑化に求められる性能は単なる「景観形成」や「ヒートアイランド対策」だけではなく、将来へのリスク対策も重要になってきました。
特に設計段階では、
1豪雨時の土壌流出リスク
2災害後の景観劣化
3維持管理コスト
など、防災・BCP(事業継続計画)の観点からの評価が重要になっています。
一般的な屋上緑化では、マルチング材や外周見切り材により土壌流出対策が施されています。しかし想定を超える暴風雨では、一部の土壌流亡や根系露出が発生する可能性を完全には否定できません。
このような状況において重要となるのは、
「災害を完全に防ぐこと」ではなく、「災害後も緑化機能を維持できること」です。
基本的な屋上緑化断面図


屋上緑化システム株式会社では、この考え方を「レジリエント(強靭性)屋上緑化」と位置付け、その実証試験を継続しています。
実証試験
試験は2013年に突然変異技術にてタケシマキリンソウより開発した耐候性品種PVP四季彩キリンソウ4を用いて行う。
本試験では、「災害後の景観維持」に着目し、PVP四季彩4キリンソウが極端な土壌流出環境下においても生存し続けられるかを検証しました。
評価条件は次の2段階です。
いずれも屋外無管理条件にて2年以上継続観察を実施しています。
試験1
豪雨により土壌が流出した状態からの生存試験
試験概要
試験植物:PVP登録品種 四季彩4キリンソウ
試験開始日:2024年5月3日
試験方法:
生育済み株を緑化トレーから取り出し、ブロアーを用いて飛散可能な土壌を除去。
その後、屋外露天に無管理状態で設置し経過観察を実施する。
根系構造の特徴
四季彩4キリンソウ根張り状況(写真1)は、
- 土壌深部まで到達する主根
- 表層に広がる細根
主根と細根の双方が発達する特徴を持っています。
緑化トレー内では根系が土壌を包み込むように成長し、土壌粒子を強固に保持します。
一般的な薄層緑化植物と比較して、土壌保持能力が高いことが確認されています。
写真1

試験開始:2024年5月3日 土壌をブロアーでふるい、飛散する土壌を除去後の根圏状態








経過観察結果
424日経過(2025年6月30日)
- 根圏構造に大きな変化なし
- 土壌流出の進行停止
- 草丈は低く変化
- 景観維持レベルで生存継続




763日経過(2026年6月5日)
- 根圏構造は安定
- 土壌流出進行なし
- 枝数は開始時の約80%
- 降雨により葉色回復
- 生育継続を確認




評価
土壌の大部分が失われた環境でも、763日以上にわたり生存を継続。
災害後の復旧期間中においても緑化機能の維持が期待できる結果となりました。
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試験2
土壌が完全に消失した状態からの生存試験
試験概要
使用植物:PVP登録品種 四季彩4キリンソウ
試験開始日:2024年3月30日
試験方法:
流水により土壌を完全除去。
根が完全に露出した状態で屋外無管理放置する。
試験開始時の状態
四季彩4キリンソウは最大70cm程度まで主根が発達します。
この特性が高い耐乾燥性につながっています。




経過観察結果
433日経過(2025年6月6日)
- 細根は消失
- 主根は生存
- 葉色は正常
- 景観維持レベルを保持




797日経過(2026年6月5日)
- 生存継続
- 枝数は開始時の約50%
- 葉色回復を確認




評価
土壌が完全に存在しない状態でも797日以上生存。
これは一般的な屋上緑化植物では極めて稀な結果であり、四季彩4キリンソウのでの試験では
「土壌流出=枯死」ではないことを示しています。
建築設計への示唆
屋上緑化の防災対策は、土壌流出防止、植物・培土飛散防止などのハード対策が基本となります。
しかし設計コストや荷重条件を考慮すると、現実的には
土壌飛散対策は、マルチング、外周見切り材
景観維持対策は、レジリエント(強靭性)屋上緑化植物導入
による対策が重要と考えられます。そのため、「災害を受けても機能を維持する景観緑化の選定」が重要な設計要素になると考えられます。
まとめ
本試験により四季彩4キリンソウは、
- 土壌流出環境で763日以上生存
- 土壌完全消失環境で797日以上生存
- 屋外無管理条件で生存継続
という結果が得られました。
これらの結果は、豪雨・台風・酷暑リスクが高まる時代において、
「災害後も緑化機能を維持するレジリエント(強靭性)屋上緑化」の実現可能性を示すものです。
屋上緑化システム株式会社では、今後も継続的な長期耐久試験を実施し、建築物の防災性能向上に貢献する技術データの蓄積を進めてまいります。
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