キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
第10回 世界のセダムを求めて 国内・中国・台湾・べトナム・カンボジア・韓国
国内・中国・台湾・べトナム・カンボジア・韓国 編
セダム緑化を取り組むと色々の現象に驚かされる事が次々に起きる。
2000年当時、屋上緑化用セダム種はメキシコマンネングサが主流として使用されていたが、
メキシコマンネングサと同じセダム種で同じ耐候性・耐乾燥性を有している仲間には、
容易に入手しやすいツルマンネングサ、タイトゴメ種が有った。
しかし、ツルマンネングサは民家に近い水路の擁壁に多く自生し、タイトゴメは海岸地帯が自生地で
多くは国定公園であり採取が出来ない場所であった。
このように自生していても商業用に採取するには問題が有った。
また、メキシコマンネングサ、ツルマンネングサ、タイトゴメは種子ができるが、
繁殖のほとんどは栄養繁殖で自生地を拡大しているようで、群落間の特徴格差が大きく、
ひと山単位、海岸の半島単位で草姿が異なる事が多く見られた。当時抱えていた問題は、
「開花後花枝が枯損し景観の価値が落ちる。生育が旺盛になると地際の茎が切れて繁茂が流出する。」
解決できない疑問だらけのセダム緑化であったが市場は拡大していた。
何とか解決策を求めて新品種の調査・入手は問題を克服するための重要なステップと考えていた。
新品種の探査は日本各地から気候が似ているアジア各地のセダム類の探索に拡大し、
海外に自生する品種の亜種を見つけ安定した屋上緑化や外構緑化を実現するために行った。
日本の調査
日本沿岸(岩)に自生しているタイトゴメと大阪自生タイトゴメの比較
大阪自生 内陸型タイトゴメ
海岸(岩)自生タイトゴメの約3倍の大きさがあり、見た目の改善が出来た。
日本各地の自生種を調査したが大阪の自生種がもっとも大型である。
2018年8月28日
キリンソウと比べると大阪タイトゴメは立ち姿、繁茂も立派で
タイトゴメとは思えない大きさが判る
大阪自生の内陸性タイトゴメを従来の山陰沿岸(岩)自生タイトゴメと比べると非常に大きい事が判る
左:No5山陰海岸(岩)タイトゴメ 右:No11大阪自生タイトゴメ
日本沿岸(岩)に自生タイトゴメ
日本各地の内陸性タイトゴメもほとんど同じ大きさである
岡山県自生 内陸性小型タイトゴメ
大きさは山陰海岸に自生している海岸(岩)性タイトゴメより幾分大きい。
節間が詰まり、葉の緑色度が高い
発見より20年以上同地で自生を継続しており、
タイトゴメ特有の茎を切り離して移動する行動は少ないのではないか。
同地や海岸(岩)性タイトゴメが自生している環境を作れば全てのセダム種の永続緑化できるのではないか。
海岸(岩)自生種も同じく岩場に自生しており、根部の環境を整えれば永続育種できると思っている。
この自生環境を屋上の酷暑・強風・少雨などの劣悪環境に整備できるか疑問が残るが、
基盤材が鉱物系基盤材や軽石、透水性無機物を多く添加した培土、
あるいは比熱の小さい団粒化材を使い空隙率高めた培土を使用すれば可能性は高いと推測する。
メキシコマンネングサ オーストラリア系種
2000年頃日本に少量持ちこまれた品種。
メキシコマンネングサの黄緑色系列種は、緑色~黄緑色の間で色調が変化する事が多いが
黄緑色種の中でもオーストラリア系種は黄緑色~黄色の間で変化し緑葉に変化しない点にある。
開花による枯損消滅は見た事が無く屋上緑化に適した品種と言える。
2024 年12月10日 岡山県 生育環境:日なた株
2024 年12月10日 岡山県 生育環境:日かげ株
海外編
中国 温州
風光明媚な山水奇岩の観光地 石窟仏教寺院が多く建立されその規模は日本寺院の比ではなく大きい
奇岩沿いを縫って続く参道沿いにメキシコマンネングサやセダム類や見た事ない多肉植物が生えている
寺院の参道に自生しているメキシコマンネングサ
地元の女性に聞くと「炒め物にして食べる いくらでも生えてくる」と言っていた。
好きで食べると言うより、我々の春の七草のような物言いだった。
中国 温州自生 多肉植物の亜種(褐色の植物)薄層培土で栽培すると意外と強いが
褐色の草姿は観賞用には向かない
草陰に自生している種は緑葉になる
中国 温州自生
5枚葉メキシコマンネングサ メキシコマンネングサの葉数は3~5枚が普通 5枚は希少
中国上海 花市場
カメラを向けると嫌がられる、競争の激しいのだろう 買わないと撮影禁止
2015年中国花市場ではメノマンネングサ、メキシコマンネングサの黄緑色種は市場で流通している
黄緑種は突然変異で発生したのが判りやすく、ベトナムでも商業的に売られている
中国 深圳区 緑化場所
ツルマンネングサの外構緑化
台湾 九ふん
眼下に海広がり海風が運ぶ霧でセダム類が生育しやすい環境である
多種のセダム類がみられる。ただ九ふんは観光地なので自生種か持ち込まれたのか不明
子持ちマンネングサ、メキシコマンネングサ、メノマンネングサ、など多くの種が生育している
ベトナム ハロン湾
子持ちマンネングサの一種 沿岸や内陸の至る所に自生している
ベトナム ハノイ
幼稚園の前を通りかけると保母さんが写真をみんなでとりましょうと手招きしてくれる
園児と先生の記念写真
写真上半分 メキシコマンネングサのようでもあり松葉菊か?葉が茂らないと正体不明
たぶん子持ちマンネングサ
ベトナム ハノイ下町の雑貨屋前
皆愛想よく微笑みかけてくれが、言葉判らなく会話できないのが悲しい
お茶を頂く、ベトナム茶は緑茶で蒸し工程が短時間なのか中国の白茶との中間の香りの煎茶であった。
茶葉は1芯4葉程度の丁寧な作りで、若い葉を使った作りで、薫り高く濃く美味しい
ベトナム ハノイ市内寺院の正月モニュメント
いまのベトナム人は漢字が読めなく意味が分からないそうだが正月には縁起物で飾る
村で結婚式があり村人総出で料理を作る。
手作りソーセージ作り、添加物無し豚肉ミンチを腸に詰めて作る。
おじさん自慢のソーセージの出来上がり
結婚式祝いに食べる日本の赤飯と同じもち米のおこわ 赤カボチャで色付けする
結婚式準備に呼ばれ、まかないの昼ご飯を食べる。開放的で形式ばらずフレンドリーな社会。
日本で思うベトナムの雰囲気と違い、なつかしい昭和30年代の風景を浮かべる。
日本に働きに来ているベトナムの人たちに対する態度を思えば、もっと親切な雰囲気にならないとと思う。
年長者を上座に若い世代は手前に自然とできる優しい国。
ベトナム ハノイ花市通り
メキシコマンネングサの緑黄種が売られてそれなりに鑑賞価値があるのだろう。
ベトナムでは屋上緑化を組織的に実施みられず、自然発生の緑化にセダム種が混じっている
腹痛で入院
日本の塩辛と同じ作りのベトナム珍味が体に合わず腹痛を起こす
竹のベッドに寝かされ点滴の準備中。
ベッドの足先は庭に続いて道路になり、通行人を見る事ができる。
「はだしの医者」の言葉が判る世代は想像できるだろう、
映画のシーンのような場所で治療、なかなか味わう事ができない良い経験となった。
点滴治療
ベトナム ハノイの1月は寒く息が白くなる。
看護師さん点滴液が冷たいだろうと気遣い、加温に点滴チューブにホークを挿しコップに沈め
これにポットの温水を入れて温めてくれた。あるもので精いっぱいの努力をしてもらい感謝
韓国
スーパーの野菜売り場で売られているツルマンネングサ
日本自生種と同じ草姿ナムルにして食べる
焼き肉店に持ち込み料理してもらう
カイワレ大根と同じ味がして焼き肉に合う
庶民料理で外国人向け焼き肉店にはないメニュー
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