キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
312 タケシマキリンソウの増やし方 植付ポイントは発根の仕方で判る
タケシマキリンソウの増やし方
植付ポイントは発根の仕方で判る
植栽現場で最も枯れやすいのは、植え替えのとき
タケシマキリンソウ生産者や緑化企業の方は植え替え時に枯らさない工夫をどうしていますか?
猛暑が続きタケシマキリンソウの工事や作付け時期を迷っている皆さん、
作付け成功率を高め、新芽数を増やす工夫はされていますか?
植物が元気に成長するのは肥料管理と水管理が第一番と思っていませんか?
キリンソウの発根の仕方を観察すると植付ポイントのヒントが見つかります。
タケシマキリンソウ緑化メンテナンスにも利用できます。
タケシマキリンソウ挿し芽の方法は文末で紹介します。
市販のタケシマキリンソウの苗は7.5cmポット苗とプラグ苗が有りますが、
施工現場で利用されていることも多い7.5cmポット苗を使って説明します。
市販ポット苗の圃場での育苗期間は6か月が標準と思います。この程度育苗した苗は
四季彩キリンソウやタケシマキリンソウではおおよそ20日程度有効な雨水(根に有効水が3日程度が存在する事)があれば
自立生長は可能となりますが、根の状態を理解して適正な植え方をすると、その後の草姿が早くきれいになります。
まず季節により供給される苗の草姿は異なります
初夏~秋 晩秋~春
タケシマキリンソウの根姿
量産されているタケシマキリンソウの根は、標準型のひげ根深根型とひげ根浅根型に分かれます。
タケシマキリンソウは双子葉植物ですから主根と側根からなる主根型に入るのですが、
タケシマキリンソウの系列種により、挿し芽で増殖する発根は、節より発根が始まるので
根の形状は単子葉類の側根状と双子葉植物の主根と側根からなる主根型の混ざった形態があります。
図引用:© ZUIYO 公式ホームページ http://www.heidi.ne.jpCopyright Trygroup Inc. All Rights Reserved.
不定根 (adventitious root)
参考:地下茎から生じた根のように定根以外の根 (幼根以外から生じた根) を不定根という。
不定根は茎の節から生じることが多く、このような不定根は特に節根 (nodal root) とよばれる。
単子葉植物では定根がほとんど発達せず、多数の節根が発達してひげ根型根系 (fibrous root system) を形成する。
このような根をひげ根という。
タケシマキリンソウの発根の仕方と注意点
1:発根は挿し芽の地下部の節から発生する。①
1-2.挿し芽の先端より発根しない。②
1-2.発根は当初横方向に伸びるので挿し芽に土寄せする。③
1-3.根は温度変化を嫌うので軽石等の日射を反射する遮光材を設置すると良い
2:発根した節より新しい新芽が発生する④
3:発根は主根状に太くなる
3-1.細根は株元と主根先端部に集中する⑤
3-2.発芽が成長し茎を形成するとそこから発根する⑥
4:茎の伸長に合わせ発根節が増え 細根が太根に成長する
挿し芽増殖の注意点
1 発根は挿し芽の地下部の節から発生し、挿し芽の先端より発根しない。
2 発根は当初横方向に伸びるので挿し芽に土寄せする。
3 根は温度変化を嫌うので軽石等の日射を反射する遮光材を設置すると良い
4 発根した節より新しい新芽が発生する発芽が成長し茎を形成するとそこから発根する
5 細根は株元と主根先端部に集中する
タケシマキリンソウ生産者;挿し芽で生産する場合
1 挿し芽は3節以上を培土に差し込み、地上は5節程度出す
2 地下の節数が増えると根数が増える
3 細根で増えるので土厚は薄くて良い
4 株元から新芽が伸びたら土かけする
緑化メーカー:トレー栽培をする場合
1 できるだけ長い挿し芽を使用する
2 挿し芽は斜めに5節程度埋める
3 株元から新芽が伸びたら土かけする
よく観察し実践するとタケシマキリンソウの充実した株を作る事ができる。
<参考資料>
タケシマキリンソウの苗の生産は99%挿し芽方法でされています。
挿し芽は春5月~6月と秋9月~10月に集中し、それ以外の時期も可能ですが成功は天候に左右されます。
この時期が良いのは、緑化用途で使用されているキリンソウは
ほとんどタケシマキリンソウ種でこの種は秋から冬至芽が成長し5月には10cm以上に成長します。
挿し芽は2節以上を培土に差し込み、地上は5節程度出る長さがとれるように収穫します。
タケシマキリンソウの挿し芽手順
1.挿し芽取り
1.乾燥処理
半日以上切り口を乾燥させる
縦向きに垂直に置き、切り口を濡らさない
挿し芽
培土に2節以上斜めに埋め込む
挿し芽培土
透水性が高く、適度に保水性がある培土で行う事
市販培土での配合例
軽石、硬質鹿沼土、ボラ土等の多孔質材:5
堆肥(肥料分は少ない方が良い) :3
粒状赤土、黒土 :2
※市販されている「挿し芽培土」は活着率が低い。
理由は:透水性(通気性)が良くないといけない。
保水性と通気性は同じではない。理想は適度に保水して通気性のある培土である。
初期の数カ月以内に枯らす原因は加湿による場合が多いので、過度に潅水しない。
タケシマキリンソウポット苗の植付
タケシマキリンソウの植栽場所は屋上緑化が多く、トレーに厚さ5cm程度の培土を敷き
これに植栽される薄層緑化、袋に培土を入れ植栽される土嚢工法が多く、
7.5cmポット苗の根鉢を崩して根を広げて植える。
タケシマキリンソウ屋上緑化は自然の雨水のみで生育を目指した緑化であり、
小降雨でも根がしっかり雨水を取り込めるように周囲に広げて植えると育成は早くなる。
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