メニュー

キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

〔実用記事〕化学突然変異で景観に優れた新しい草姿のキリンソウ開発する―四季彩キリンソウ開発史―

2026年4月24改定

                                               山下 律正

〔実用記事〕

化学突然変異で景観に優れた新しい草姿のキリンソウ開発する

―四季彩キリンソウ開発史―

山 下 律 正 *  飯 島 健太郎**

* 東京都市大学 環境学部 環境創生学科 客員研究員

** 東京都市大学 環境学部 環境創生学科 教授

 

1.研究目的と背景

2000年より都市部の気温上昇がヒートアイランド現象と認識されるようになり都市部の温度上昇を対策する事が求められていた。その手段として、植生域の増加、人工建築物を緑被覆する事によりヒートアイランド現象の緩和の一つの手段として地表被覆面の改善が有効であるとされた。都市部で緑化可能な空地が少ない事から都市部では既存や新設の建築物等において、壁面緑化や屋上緑化を行うことによって有効に土地を利用し、かつ緑地面積を増大させることが期待できる。

令和4年国土交通省 全国屋上・壁面緑化施工実績調査の結果1) より令和4年実績は 芝生主体:11,382㎡   セダム主体:73,762㎡  コケ主体:2,540㎡   その他草本主体:9,178㎡  低木主体 :4,495㎡ 複合:28,803㎡  不明:4,358㎡  合計:154,517㎡ 平成12年からの22年間の増加率は 芝生主体 :99倍 セダム主体:96倍 草本主体:60倍  低木主体:19倍  複合:33倍  合計:57倍

図1

図2

屋上緑化に関してみると、セダム類は工場屋根、商業施設やオフィスビル等の建

築物屋上での激しい環境に対する植栽として選定されている。このような屋根にかかる荷重を最小限にしたい工場等の建築物には、緑化基盤厚さの薄い緑化基盤を使われる事が多い、この薄い緑化基盤で生育する事ができるのがセダム類である。

図1の屋上緑化面積のセダム主体緑化27%と図2屋上緑化基盤厚さ別施工比にて5cm以下26%の二つの数値が近い事からセダム緑化の使われ方が推察できる。

しかしながらセダム緑化への警鐘は多くの指摘がなされている。なかでも致命的と言えるのが「開花枝は枯れる」「蒸れに弱い」の2点があげられる。

緑化メーカー各社のメンテナンスマニュアルには開花枝の刈取が推奨されているが、緑化基盤厚さの薄い緑化は、省管理を特徴としたセダム緑化システムを特徴としておおり刈れと管理の相矛盾する事態になっている。

これを解消するためにセダム属でも耐候性の高いキリンソウ属に注目が移っている。

基本的にタケシマキリンソウを用いた緑化にはタケシマキリンソウとその亜種が用いられている。

その形態を観察するとタケシマキリンソウ種、種苗登録種のいずれも共通して

①緑色 ②直立型 ③開花性(離年開化も含む) ④冬至芽の秋成長(常緑性とうたっているメーカーも有り)⑤草丈は30cm以上に成長する。総じてまとめると緑色の大型耐候性植物と言える。

屋上緑化の植栽環境と景観より、より景観を重視した緑化が求められており、園芸種と混植して花壇状の緑化スタイルの要求も有るが、環境ストレスに弱い植物に合わせて維持管理をする必要があり潅水装置や土壌厚の増大とキリンソウを使うメリットが無くなることも指摘され、キリンソウ単種で景観緑化ができないかの要望が多く聞かれる。

当研究は環境耐性の高いタケシマキリンソウを原種として、突然変異処理により葉色、草丈、草姿、開花調節の理想品作出を目指した。

 

2.突然変異育種

様々な品種変異技術

品種変異には様々な手法があるが、古くは化学物質によるものが文献紹介されている。その他に、X線、ガンマ線、紫外線が上げられ、ガンマ線が最も利用頻度が高い。放射線を使う場合は、日本では「放射線障害予防規定」にて放射線が自然レベル程度に下がっても、被曝や汚染物質として扱われる。したがって、熱中性子、速中性子、ベ-タ線、イオン化粒子などは、一般栽培むけの品種を育成することは許可されない。それ以外についても、資格・指定の取り扱いに細心の注意が必要である。

一方、化学物質では、資格や安全性を考えると、エチルメタンスルホン酸 (EMS)、メチルニトロソウレア(MNH)などのアルキル化剤や、アジ化ナトリウム(NaN3)などの化学物質が使われる。当然これらの物質は発がん性物質の部類に位置づけられるため取扱いの資格・知識がないと難しい。

化学変異源は全てに作物に有効ではなく、一部の形質は化学変異源では突然変異を誘発できない事も判っている。

化学変異源の種類では、大麦での始原細胞あたりの葉緑素突然変異はEMS「メチルメタンスルホン酸」(35%)≒NMU>E「エチレンイミン」(20%)となり、γ線照射の5倍、3倍となる。

EMSは高い葉緑素突然変異を生じるが、M2世代において不稔突然変異が多数出現し、その後の世代において異常な分裂を示すことが多い。またM2、M3において発芽率が観察されている。

化学変異源を用いた品種改良ではγ線照射の上限値の2倍=15%葉緑素突然変異を目標とする濃度が適当と思われる。

突然変異の発生はわい性、早熟性の出現が多い。2)

図3

各種変異源で処理したM2突然変異体のうち次代(M3)で再確認された生存可能な形質

Erectoidesは、穂軸節間の短い密穂変化であるブラトグリーンの事であり、葉身、葉鞘を覆うワックス状分泌物の少なくなるワックスレス突然変異や早生突然変異と並んで多く発生する。3)  突然変異育種 2,6,5突然変異誘発法 37

 

化学突然変異剤よりアルキル化剤の代表的な品種

エチルエタンスルホン酸(EMS  ethyl methanesulfonate)

ジエチル硫酸(dES di-ehylsulfate)

エチレンイミン(EI etyleneimine)

エチルニトロソウレタン(ENU ethyl nitrosourethane)

エチルニトロソ尿素(ENC ethyl nitrosourea)

メチルニトロソ尿素(MNC methyl nitrosourea)

NEC(N-nitoroso-N-ethylurea)

4) 突然変異育種 3,1,2突然変異誘発法 44

これらの化学突然変異の誘発効果は一般にアルキル基を複数個持つ物質よりも、1個だけ持つ物の方が高く、これらにはX線、γ線と同程度ないしはそれ以上の効果を示す物もある。効果の程度は化学構造により様々でまた、処理法によっても変わる。

ニトロソ化合物を使用した場合の突然変異頻度を稲種子処理で得られた葉緑素突然変異の出現率で見た場合

NEC≫NMC≫NMU≫MNNG

NEC≫EMS>NMC>MMS

NEC≫EMS≒EI>NMC>NMU

NMC≫dES

Ei>EMS>NMC

NMC>EMS>EI≫γ線

総じてニトロソ化合物では、NEC≫EMS≒EIと考えられる

 

ニトロソ化合物以外の変異源と稲での出現率を比較した場合

EI ≒EMS≫dES>X線>EO

EI ≫X線

EMS≫MMS

EI>EMS≒PMS>dES>BMS(buthylmethethane sulfonate)>PO(puroylene oxide)>BO(butylen oxide)

5) 突然変異育種 3,3,1突然変異誘発法 62

 

図4

6) 突然変異育種 3,3,1突然変異誘発法 63

 

3.処理計画とその準備

 本試験では化学変異処理剤としてエチルエタンスルホン酸(EMS  ethyl methanesulfonate)を使用し取り扱いに際しては、試験環境の整備が重要である。換気装置、作業台上の保護、人体の保護などである(図5。とりわけ人体の保護は重要な項目であり、当方の事例では、雨カッパを着用して衣服汚染を防ぎ、加えて手袋や活性炭マスク、眼鏡も必需品となる。次いで毒劇物が取り扱える設備の整備を行なう。最後に調整液を廃棄するので、排水貯水バケツ、次亜塩素酸ナトリウム、中和の設備や薬剤などを準備する。

本報で紹介するのは、「エチルエタンスルホン酸(EMS;ethyl methanesulfonate)」である。発がん性があるので、適正な対処法、すなわち鍵のかかる場所、高温にならない場所、密閉容器に入れて保管するなど、厳守しなければならない。

 

3-1 化学変異処理の準備

次いで事前に処理手順の選定について検討する。処理の選定プロセスによって、突然変異率を向上させること、突然変異するときの変異のスペクトラムがうまく出ることに配慮する。そのポイントは、①種の特性に基づく処理条件の設定;品種の亜種の調査、②生育ステージ;その植物がどのような生育ステージにあるのかという調査、③植物の形態的特性;ワックスと細胞膜などの特性は種類によって異なるので、そうした性質を事前調査する。以上の性質を把握した上で、④処理前の準備、前処理、⑤処理方法、⑥処理濃度と時間、⑦養生方法などを選定する。

図5

実際の作業の流れとしては、サンプリング、薬剤希釈、薬品処理、薬剤除去、仮植えする。一旦養生し、ある程度の期間を置いてから変異が発生しているスペクトラムの変化や形態の変化を見つけつつ、本処理に移行する。

 

3-2事前調査と変異処理手順

本項では処理手順ついて詳述するが、供試植物は栄養繁殖植物であり、薄層屋上緑化用に積極的導入が行われているセダム類(ベンケイソウ科)をケーススタディとして紹介する。

種の特性に基づく処理条件の設定

突然変異が発生しやすいかどうか事前に調査する。すなわち、あらゆる植物が全て同じように変異をするというわけではなく、事前調査によって変異率を高めていくのが一般的である。遺伝子の安定性は、亜種の広がり状況で判断する。

種は生育域や生育環境により、さまざまに亜種として多様化している。その中に変異しやすい亜種と変異しにくい亜種があるので、これを調査する。同じく同一属内でも変異率が大きく変化するので、この調査も事前に行なうことで変異しやすい品種をそこから選抜し、対象品種の選出を行なう。

 

3-3 生育ステージ

処理に際して、どの時期に苗を採るかという前提を明らかにしておく必要がある。すなわち発芽時期、成長開始期、生育期、開花期、休眠期など各生育ステージがあるが、どのステージに処理を使うと効果があるのかは種(品種)によって異なるものである。特に体内ホルモンとの関係が重要であり、細胞の活性度、光合成の程度、正常な生育または耐性環境、また植物体の部位について頂芽を使うのか側芽を使うのかによっても、結果は大きく変わってくる可能性がある。特に草丈の長い植物では、側芽を使うことになるが、処理時の側芽の活性度が問題となる。

以上のような条件を整理すると、対象植物のどのような特徴に着目しておくべきかが把握できる。そこで実際の前処理段階への検討となる。

 

3-4 植物の形態的特性

植物形態的特性の中でも葉面付近の特徴について調査する。すなわちワックス層や細胞膜の特性は、薬剤の浸透性に大きく影響する。処理液を弾く性質、あるいは厚い細胞膜を持っている物については化学品剤が浸透・吸収しにくいなどの影響があり、状況に応じて投与方法を再考する必要がある。

 

3-5  処理前の準備、前処理

薬剤を効果的に成長点に作用をさせるための工夫として、濃度を変える、処理時間を変える、さらには浸透剤を使用する方法などを適宜組み合わせることになる。浸透剤には、ショ糖脂肪酸エステルとポリオキシエチレンノニルフェノールの他に工業系の浸透剤を使うケースもある。

また効果的に浸透を促すために、植物の活性を高めるために植物ホルモンの添加を行う場合がある。例えばサイトカイ二ン、ビタミンEを添加するケースがある。植物ホルモンは添加せずに活性化処理の一手法として、事前に給水させたり断水させたりすることによって細胞膜内への取り込みを促す方法もある。

 

3-6 実際の処理手順

具体的な処理手順については次のように行なう。横に品種を並べ、縦に設定条件を数通り用意する(写真1)。浸漬時間、温度、浸透剤など数種の条件で用意して試験処理し、この中から良い条件を絞り込む。次にその条件下で大量に処理する。

そうした条件において処理した結果、様々な特徴が現れる。特に興味深い特長の個体を抜き取ってみる(写真2)

これらは特長が異なっているが同じ種類であり、同じ株から採取した個体である。この中に生存している個体、枯損している個体があ条件を変えることによって様々なケースが出現する。このような様々な特長とともに生存や枯損の状況から条件を特定しがちであるが、実際にはこれらの特長をヒントに中間処理を模索していくことになる。変異しないから効果がなかったかどうかはこの時点では分からない。枯損していてもシュート先端部が生存していれば、薬剤の処理濃度と時間が適正ではなかったと考えられ、濃度や時間を少し減じて処理することで生存率が上げる可能性がある。あくまでも枯死しない一歩手前の所で処理するのが条件となり、その数値を見出すことがポイントとなる。

写真1

写真1 処理を行う品種別(横)と処理条件(縦)

 

写真2

写真2 処理の違いによる同一株から採取したセダムシュートの変異

次はサンプリングという過程である。処理する形態をきちっと表出している個体を使用する。要は突然変異をかけるからちょっと変わっているのをかけたいという考え方もあるが、その場合、遺伝子異常をきたしている可能性もある。正常な個体を活用することにより、処理に基づいた突然変異が現れることになる。

処理の開始にあたっては、処理剤が茎(枝)を切った断面に付着しないよう長めにカットする。それでも切り口に処理剤が触れる可能性があり、例えば蒸気を介して付着することも考えられるので、切り口がある程度治癒するまで養生してから実施すること望ましい。実際処理する時は頂芽を下に向けて行なう。どのような処理条件にするかは前述のとおりである。処理中は密封して蒸散を防ぐ。処理後、水洗いして仮植えを行なう。こうして仮植えした物から良いものを選抜する。変異は全体視すると気づきにくい場合でも、焦点視すると様々に変異しているケースがある。変異の仕方は俗に言う「突然変異のスペクトラム」という色で変化すると思われがちだが、実態は形態的に変異する。1カ月ほど生育を観察すると、初期にどの部分に影響を受けたかによって変異の仕方がそれぞれ変わってくる。

 

4.選抜と育成

 前述に基づいて選抜を行った結果、良い形質として認められたものに葉色が赤色を呈した個体がある。普通この植物は緑色を呈しているが、赤色が表面に出てくるというのは葉緑素の下に隠れていたアントシアンの色素が葉緑素と置き換わり表面に上がってきたものである。これが安定的に表面に上がってくれば赤色の品種となる。野生種では色は遺伝的に安定しているので、色を切り替えることは難しいが、突然変異によって赤色の発色傾向が出現されれば、この品種を元にして、改良すれば安定化させる可能性がある。

その他に基本種よりもシュートがコンパクトな個体が認められた。形態的にコンパクトであることは、いわゆる劣性遺伝子が発現したのではないかと捉えられる場合もある。実際は劣性遺伝子が表面に何ヶ所か出てくるものが形態的変化で現れてくるが、これが成長していくと通常の草姿になるケースが多い。一方、こうしたコンパクトな草姿の個体は、環境耐性を持っている可能性が高く、次の段階として各種の環境耐性試験にかけていくことで、緑化現場に応じた環境耐性のニーズに応える新たな特性を発掘することが可能となる。

以下、具体的な選抜事例をセダム種にて紹介する。

(選抜事例1)

形態的に非常に大きく変化している個体、色素が少し抜けて形態的に小さく変化した個体がある。

写真5

このように形態変化した個体を選抜してこの中の有効な対象を見つけていく。例えばライトグリーンに変化したものがある(写真5)。この事例では安定した枝となって増殖をかける品種の対象となる。

(選抜事例2

わき芽の部分は全て生育しないが、休眠状態を打破してたくさんのわき芽が出る性質となっている。こうした形状の商品価値としては、ドワーフ・コニファーのようにこんもりとした状態を作り上げることに役立てる(写真6

写真6

(選抜事例3

綴化しているように見えるがウイルスによってではなく突然変異で遺伝子の変化による綴化現象である(写真7)。周年経過を見ると、成長期の新芽分化の盛んな時期に見られ、成長期には通常のシュートも混在した形態となる。とかくセダム類は成長後にコロニーが崩れ徒長状態となる欠点があるが本株ではその現象は低く抑えられた。

写真7

(選抜事例5

この変異はごく特定の成長点の所から始まった事が分かる(写真8)。全体の半周が白斑状に変異した状態でこの状態を成長株にするに長期に維持させるのは分離技術がある。栄養繁殖植物ではこの様な変異を残すことが比較的容易だが、その技術として培養技術の準備が必要と言える。

写真8

 

5.結果

 化学突然変異剤エチルエタンスルホン酸(EMS  ethyl methanesulfonate)にてセダム属とキリンソウ属については同等の変異の発生ができた。

キリンソウ属に3-2事前調査と変異処理手順の手順で化学突然変異を実施し作出した特徴について解説する。

キリンソウの特徴を表す評価は、農林水産省 種苗登録の出願品種の形質及び特性により50項目定められている。その中でも必須項目8項目の草姿、草丈、茎の太さ、越冬芽の有無、葉の形、葉の基部の形、冬期の葉のアントシアニン着色の強弱、葉の斑の有無、に加え開花の有無、単枝と多枝、乾燥耐性について発生する突然変異について解説する。

7) 品種登録 農林水産植物種類別審査基準 5.出願品種の形質及び特性

5-1 草姿

農林水産省 種苗登録の出願品種の形質及び特性では3特性の直立型 開張型 ほふく型に分類されているが、語感よりイメージされる草姿は枝の広がり方+株の大きさ+色合い+質感で構成されている。5-1草姿では小型 ブロンズ型は追加して記載する。

ほふく性は、新芽の成長当初よりほふく性を示す形質と、直立型に成長しその後頂芽の拡張により頂部の重量により倒れて開張型に移行する2種が有る。

ほふく型の字の意味からも、生育当初よりほふく型に枝が伸長する前者が有効で、後者は直立型の倒枝と判断し該当しないと判断している。

ブロンズ型とは、葉の肉厚が厚いだけでなく硬い葉で草姿に柔軟性が少なくガッシリした形状に育成する種類を指す。

代表的な草姿を紹介する。

直立型 緑黄色品種

写真9

直立型種で緑黄色の葉色種は少ない。直立種は茎径も大きく、株立数も少ないので通風が良く枯損の第1原因である「蒸れ」による枯損は少ない。

直立開帳型 濃緑色種

写真10

直立型種で原種に比べ濃緑色。直立種は茎径も大きく開花後も倒茎が少なく草姿維持性に優れる。株立数も少ないので通風が良く枯損の第1原因である「蒸れ」による枯損は少ない。

ほふく型 小型品種(左側) 原種(右側)

写真11

写真11-1

草姿はコーカサスキリンソウより若干大きい草姿。生育当初からほふく型(生育の良い枝は直立成長する場合も有る)となる。

ほふく種の特徴は茎に湾曲が有る点にある。成長過程で重力によるほふくより湾曲している事から発生する形態と言える。春より発生する新芽は直立型に成長するケースが多いが半数以上が秋にまでには開張して地這型になる。

小型 緑色品種

写真12

草丈は20cm以内、直立成長後、開張型になる場合が多い

突然変異種は原種に比べ草丈は小型になる。平均的に60%~70%に低下する。

ブロンズ型小型品種

写真13

葉の幅:狭 葉の厚さ:極厚 葉の主な色:濃緑

この変異種の草姿の表現は原種草姿を50%程度に圧縮した形状が表現に適する。

硬く締まった草姿となる。

成長過程も独特の特徴ある変化をしながら成長する。

5-2 草丈

草丈

タケシマキリンソウ原種の草丈は30cm~50cmに対し10cm程度の品種も作出できた。

草丈は草姿と連動した形質であるが、ほふく性種、倒枝はその全長で表している。

小型種

写真14

タケシマキリンソウの草丈は40cm~50cmに成長するに対し、小型種は草丈20cm以下を分類している。

大型種

写真15

5-3 茎の太さ

タケシマキリンソウ原種の茎太さは5mm~10mmに対し突然変異種は3mm~12mm程度の大小の形質が作成できた。

小径種

写真16

大径種

写真17

5-4 越冬芽の有無

タケシマキリンソウは亜種に至るまで冬至芽は秋に発生し2cm~5cm成長し越冬し翌年2~3月に成長を開始する特性を持っている。日本沿岸部に自生する在来のキリンソウの冬至芽は越冬芽として春に成長を開始する。

タケシマキリンソウを化学変異剤で処理すると越冬芽に変化する事が有る。この場合草姿やキリンソウの基本形質もタケシマキリンソウの祖先の形質が発現して在来型に近い特徴が発現したと推測している。

越冬芽無(冬至芽は秋に発生し2cm~5cm成長し越冬し翌年2~月に成長を開始)

写真18

越冬芽有

写真19

5-5 葉の形

広倒卵形

写真20

狭倒卵形

写真21

針状型

5-6 葉の基部の形


くさび形

写真22

5-7 冬期の葉のアントシアニン着色の強弱


アントシアニン着色弱

写真23

アントシアニン着色強

写真24

5-8 葉の斑の有無、葉の斑の色

緑白色葉

写真25

淡黄色葉

写真26

5-9 開花の有無

品種登録 農林水産植物種類別審査基準 5.出願品種の形質及び特性に表記無し

中央花

写真27

花なし

写真28 6月19日

5-10 単枝と多枝

品種登録 農林水産植物種類別審査基準 5.出願品種の形質及び特性に表記無し

多枝

写真29

5-11乾燥耐性

品種登録 農林水産植物種類別審査基準 5.出願品種の形質及び特性に表記無し

 

四季彩キリンソウの乾燥性試験

試験場所:南面の直射日射環境の軒下

試験条件:給水無し 放置管理

無潅水生育試験:開始6月26日~ 終了10月14日 = 110日間(3ケ月18日)

写真30

試験開始 6月26日

終了 10月14日110日(3ケ月18日)間経過

翌年3月29日生育状況

試験結果

① 期間中は開花に当り水分・栄養分を多量に使用する最も水分を要求する期間中であった。

② 開花は終了し結実した。葉は株元より1/3程度落葉し、葉色が衰退したが生きている生気は有る。

③ 終了後、給水すると翌年3月には問題なく成長した姿に戻る。

四季彩キリンソウ突然変異種は、耐乾燥性と多様の草姿変化に富み、温暖化で酷暑環境での緑化要求に適合する

特性を満たす事ができる。

 

6.植物の活用分野と今後の期待

 以上、キリンソウの突然変異種について、色彩や形態の特色に着目して選抜した事例を紹介した。

これまで一律に施工場所条件や管理条件で緑化植物種を選定した結果、非常に過酷な屋上緑化においては、緑一辺倒のセダム緑化、キリンソウ緑化が用いられ、特にキリンソウ緑化では既存種の登録品が高価格帯で販売されたことから、低価格層での施工量が少なく耐候性の高いキリンソウ緑化の普及に至っていない。本発表ではタケシマキリンソウの自然種を突然変異処理をおこない景観に優れた草姿に変化させ、タケシマキリンソウの持つ耐候性特性を引き継いだ新品種を紹介した。

新品種はセダム緑化で危惧された屋上緑化は枯れる心配から開放する一つの提案として、低コスト緑化追求するセダム種がら、枯れるリスクを抑えた耐候性の高い新しいタケシマキリンソウ種を利用すれば従来のキリンソウ緑化やセダム緑化に存在しなかった景観を彩る事ができる。

また、屋上緑化は緑色という常識から新キリンソウを活用することでカラーリングしたデザイン緑化が可能になる事も提案する。

新タケシマキリンソウは耐候性と品種選択の幅を広げ、変化する温暖化に対抗できる唯一の植物群であり利用が増える機会を提供できることを望んでいる。

なお本報は、EMSという化学物質を使って品種改良を実施したケースを紹介したものである。よって遺伝子のどの部分が変わっているかというような言及は行っていない。なお実験の実施にあたっては安全基準に基づく資格を取得している第一著者が行ったものである。実験手法に関して、サンプルの葉齢、処理濃度や処理時間、処理環境等の詳細な情報は研究発表の機会に公表することを予定している。

 

参考・引用文献資料

1)令和4年国土交通省 全国屋上・壁面緑化施工実績調査の結果

2)突然変異育種 1.3突然変異誘発法 3

3)突然変異育種 2,6,5突然変異誘発法 37

4)突然変異育種 3,1,2突然変異誘発法 44

5)突然変異育種 3,3,1突然変異誘発法 62

6)突然変異育種 3,3,1突然変異誘発法 63

7)品種登録 農林水産植物種類別審査基準 5.出願品種の形質及び特性

 

 


Warning: Attempt to read property "ID" on string in /home/xb406993/bgpro.jp/public_html/wp-content/themes/bgpro/single-blog.php on line 31

Warning: Attempt to read property "post_date" on string in /home/xb406993/bgpro.jp/public_html/wp-content/themes/bgpro/single-blog.php on line 32

お問合せ・カタログ請求

※は必須項目です。


お問合せ・カタログ請求

<納入にあたってのお知らせ>

※ 納入地域・納入数量等により、お断りする場合があります。

※ 苗の販売は行っておりません。

※ 原則として個人住宅への納入はご遠慮させていただいております。