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キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

20 EMS突然変異実験 ④試薬調整法

タケシマキリンソウのEMS突然変異手順

1 突然変異処理手順

④試薬調整法

希釈法・調整水・pH・展着剤について解説します。

 

③で実験準備ができたので試薬の調整に入ります。

 

その前に

試薬EMSの溶解法について理解しましょう

ブログ:EMS(エチルメタンスルホン酸)化学突然変異実験の段取りと要点

を開きEMSメーカーの資料を再確認します。

 

東京化成工業株式会社

安全データシートよりSDS(安全データーシート)を読み理解します

M0607_JP_JA (1).pdf

 

EMSを使って作業する上で重要な項目は

安全データシート

9. 物理的及び化学的性質

オクタノール/水分配係数: 0.09」

 

オクタノール/水分配係数とは

オクタノールは水よりも脂溶性が高く、脂溶性が高い溶媒は脂溶性の高いものを溶かしやすい傾向がありますので、オクタノール/水分配係数が高ければ高いほどにその化合物は脂溶性であるという目安になります。

値が0で、オクタノール層と水層の化合物比率が同じということになります。

値が-(マイナス)になると、水層の方に分配される割合が高いということになります。

オクタノール/水配分係数:0.09は水に溶解しやすい性質をあわしています

 

希釈水

純水を使用します。蒸留水でも可能

 

溶剤

99.9%エチルアルコール

水溶性材料でも溶解に時間がかかる場合が多い、溶解度の高いアルコール類で溶かし溶解を早め、後に純水を加えて水溶性とする

 

添加剤

添加剤は試験の目的と結果までの期間により異なります

標準的な試験後、発生した変異が継続変化になり易い方法について解説します

標準試験での添加剤は展着剤のみで良いと思います

 

展着剤とは、いわゆる石鹸効果でEMSを葉の組織内に送り込む薬剤です

葉の表面はクチクラ層、ワックス層、細胞壁等の薬剤が浸透しにくいバリアーで覆われています。このため分子量の大きいEMS水溶液で漬けても、分子には浮遊状態で浸透効果は発揮されません。

そこで展着剤で浸透性を高めるのですが、植物用展着剤、食器洗い用洗剤、洗濯石鹸と多くのものが有りどれを採用するかは自分で判断してください。非イオン系材料を勧めます。

私はアプローチBI、台所用洗剤を使用します。

判断方法は使用倍率に希釈した展着剤に植物を漬けて引き上げたときに葉の表面にハジキが無い事、

浸けて数日後に黄変・褐色化・枯れ等の影響が出ない事で判断しています

アプローチBI 台所用洗剤

アプローチBIの浸透のメカニズム

農薬の粒子を細かくしてクチクラクラックの割れ目及び気孔から農薬を浸透させる。

ワックスを溶かさないので展着剤そのものの薬害がない。

アプローチBIの浸透のメカニズム

アプローチBIの浸透のメカニズム

とくに付着性、浸透性にすぐれていますので、効果にムラがなくなります。

アプローチBI 【展着剤】の商品詳細・使い方(SDS) – 丸和バイオケミカル株式会社 (mbc-g.co.jp)

 

 

EMSの希釈

①     EMSを量注射器で計量し分注容器に移す

②     99.9%以上のエチルアルコールの滴下し溶解する

③     完全溶解したら滴下エチルアルコール量を求め希釈純水量を求める

④     追加水量計算

⑤     追加する水量が決まれば 全体量のアプローチBIの場合3%に相当する量の展着剤を滴下

⑥     追加希釈純水量計算

⑦     希釈純水半量を分注容器に攪拌しながら少量ずつ滴下し白濁が無くなるまで混ぜ続ける

⑧     pH調整

アンモニア50%希釈水を作り、軽量しながら中和する

目標pH:6.0~7.0

⑨    追加希釈純水量計算

残り希釈水を添加 完成

 

EMS試験液の保管

EMS試験液は蓋付容器に入れ密閉し

EMS試験液の保管は10度以下冷蔵庫とする

 

当ブログは化学突然変異実験の手法紹介であり、参考にして実験した結果を保証するものではありません。

試験は発がん性物質を使いますので、適合資格者が取扱い責任を果たし、自己責任で行動してください。

 

次回

タケシマキリンソウのEMS突然変異手順

1 突然変異処理手順 は

⑤   添加剤 ホルモン剤・・種類と適否について

植物の突然変異をする場合、誰しも植物ホルモンを併用すれば効果が高くなると考えると思います。しかし植物ホルモンの効果は突然変異の効果と同じように見える場合も有り注意が必要です。。

技術顧問 山下律正

 

 

 

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