キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
307 猛暑・酷暑から屋上緑化を維持する方法はないのか?
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猛暑・酷暑から屋上緑化を維持する方法はないのか?
潅水設備を導入せず、低コストで枯損リスクを抑えるには、耐性の高い植物に切り換える選択がある。
第1部
猛暑前後の屋上緑化の生育変化
第2部
障害発生場所の表面温度調査
第3部 まとめ
屋上緑化のセダム類の枯損が発生する環境
枯損を緩和する方法
さらに低コストで景観対策するには
新品種紹介:
四季彩キリンソウ11 四季彩キリンソウ12
ツルマンネングサ新品種 イイジマ2 種苗登録 30230 立性ツルマンネングサ
屋上緑化や屋上庭園の生育は気症条件に左右されるため、特に葉色・茎色は顕著に変化が表れます。
特に高日照・高温期に水に起因する乾燥・加湿・蒸れが発生すると数日で全面枯損が発生する事があります。
猛暑日の降雨と日照がセダム屋上緑化でどのような影響を及ぼすかアメダスの気象データーで見てみると
7月18日調査した猛暑期間中に発生した屋上緑化の枯損の推定は、アメダス気象データーから7月8日の降雨を境に発生したと推定される。
原因は降雨後に高温+日照が続き、土壌温上昇に伴い土壌が煮えた状態になり、
① 最初に根や茎に障害が発生する。悪環境になると地際茎を枯らして移動するセダム類の特徴が生じる
② 地際の脱落で養分が枝葉内に蓄積、紅葉現象で黄変する
第1部
猛暑前後の屋上緑化の生育変化
2017年7月18日の気象状況気象協会アメダスより7月3日から17日まで最高気温35度、日射が8時間以上続き、8日降雨後から18日まで無降雨の期間であった
現地調査より障害の発生因日は8日である。
原因は降雨後の高温・長時間日照で、地中水分の温度上昇が根・茎に障害を発生させたと推測される
7月6日 セダム緑化 障害発生前々日状況
7月18日 セダム緑化 日照場所に設置品 障害日の10日後
7月18日 セダム緑化 日かげに設置品 障害日の10日後
障害の原因と条件:
発生する条件:
1. 土中水分が高い
2. 気温が高い
3. 高日照・日照時間が長い
4. 無風
発生しない条件:
1. 土中水分が少ない
2. 気温が低い
3. 日照時間が少ない
4. 風がある
これらの原因が複合すると発生が高くなる
障害が発生する理由:
セダム植物は水はけのよい場所を好むみ生育する。その為、根が加湿条件で高温になると障害が発生する。
根の障害と高温と高日照が重なると、地際の茎部にも障害を与え養分が地上部に蓄積し紅葉に向かう。
セダム植物の特徴であるCAM代謝機能は、乾燥による緑葉は萎縮しないが、紅葉期と同じく緑葉は黄変し耐性を保とうとする。
一方 日陰では、土壌温度が上がらず、土中水分温度が低く根が障害が少ない。
セダムの吸水速度は早いが、根や茎に障害を受けると潅水効果が下がる。根が枯損すると茎部よりの発根まで復活が遅れる。
広範囲で見た猛暑日前後の屋上緑化品の生育変化
2017年6月20日: セダム緑化 障害発生18日前
2017年7月6日 セダム緑化 障害発生の2日前
2017年7月18日 セダム緑化 高日照場所に設置品 障害日の10日後
黄変したセダムの中に緑色の葉が有るのが判るだろうか?
この植栽品種は酷暑に弱い品種だがが緑葉を維持できるのは、葉の上に伸びた花茎による日陰部分の日陰効果により日射・乾燥を防ぎ 温度の変化を緩和した事による。
★日陰効果を高性耐暑品種で取り入れた商品は
緑化トレイに耐候性の高い立性タケシマキリンソウ種を混植する事で、周辺に日陰と地温低下を継続できる。
市販緑化商品の中でこの仕組みを採用している商品を紹介する。
暑性対応屋上緑化ユニット商品一例( 常時市販されている商品より紹介 )
屋上緑化システム株式会社
みずいらず キリンソウタイプ
高性タケシマキリンソウのみで構成された異常気象対応品
特長:無灌水対応システム 3年枯れ保証
第2部
障害発生場所の表面温度調査 7月25日
緑化容器 培土表面の表面温度:41.9℃
ツルマンネングサ障害箇所の表面温度:39.4℃
タケシマキリンソウの表面温度:28.6℃
種苗登録申請種 イイジマ2 立性ツルマンネングサ:33.3℃
(東京都市大学 飯島健太郎教授 種苗登録品種)
ツルマンネングサ葉色の変化
障害葉: 日本園芸植物標準色票 2703 浅黄緑色
正常葉: 日本園芸植物標準色票 3505 明黄色
第3部
まとめ
屋上緑化のセダム類の枯損が発生する環境
1. 35度近い最高気温が連続する
2. 日照時間10時間程度が連続する
3. 上記条件の間に降雨がある
4. 降雨後に無風(蒸れの発生する環境)
枯損を緩和する方法
日陰効果で緩和
1. 草丈の高い立性キリンソウの日陰効果で障害発生は緩和される。
2. 花茎の枯れない品種の混植を勧める:タケシマキリンソウ種
3. 散水を行い地温を下げる。
さらに低コストで景観対策するには
1. 草種をセダム類からキリンソウ種に変更する。
2. キリンソウのみで構成された緑化システム
「 みずいらず キリンソウタイプ 」
3. 耐候性と美観を要求する場合は「四季彩キリンソウ」を導入する。
新品種紹介:
四季彩11 緑黄色 草丈20cm程度 開張型 耐候性品種
四季彩12 緑色 草丈20cm程度 開張型 耐候性品種
ツルマンネングサ植栽(従来型ユニット)で日陰効果を出すには
新品種 イイジマ2 立性ツルマンネングサを導入する
種苗登録番号:30230 Sedum sarmentosum Bunge
新芽がラセン状に成長・立性・針状葉・耐暑性高い・地際の通気が良い特徴がある。
東京都市大学 飯島健太郎教授 種苗登録品種を使用するとキリンソウに近い日陰効果を出せる。
耐暑性比較写真
比較写真:7月18日猛暑日
イイジマ2立性ツルマンネングサ(左写真) 普通ツルマンネングサ(右写真)
立性ツルマンネングサは写真の様に茎が立ち、地際の通気が良くなる。結果、株元の枝葉の蒸れがや枯れが少なくなる
悪環境で葉は黄変するが枯損する事は少ない
ツルマンネングサ新品種 イイジマ2 種苗登録番号:30230 Sedum sarmentosum Bunge
特徴
12月16日冬季の草姿はツルマンネングサと同じ形態を示す
5月頃 開花前まで 新芽はらせん状に渦巻いて直立型に成長する
7月30日 壁面に設置すると 下垂型に30cm以上下垂成長する。
環境の変化は緑化機材で防止できる限界を超えてきている。
より耐候性の高い品種を導入することで、10年以上変わらず美しい景観を維持できるようになる。
建築物美しく彩る耐候性緑化について解説をした。
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