メニュー

壁面緑化設計ノート屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

ヘデラ緑化マニュアル 9章:1<ビギナー向けヘデラ(アイビー)緑化のQ&A>

ヘデラは花を観賞する植物ではなく「葉を楽しむ壁面緑化植物」です。そのため、Q&Aも花より「葉色・被覆率・壁面緑化管理」を中心に解説します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

目次

1:日光の当たらない場所でも元気に育つヘデラはありますか?

    :日陰でも元気に育てるには?

2:葉が大きく、早く壁を覆うヘデラはありますか?

     :ヘデラ・カナリエンシスを使った場合の利点と欠点

3:植栽後2年経過したヘデラですが、生育は良いのに壁面への付着が進みません

4:鉢植え苗も植栽前に十分吸水させる必要がありますか?

5:プランター植え経年品の生育が悪く、根が増えません。根を伸ばす方法はありますか?

6:秋に出た新芽は冬に被害を受けませんか?

7:植栽時に堆肥と有機肥料を大量に入れたら夏に枯れました。原因は?

8:固形有機肥料と緩効性化成肥料の使い分けは?

9:5月下旬に植え替えたら葉がしおれました

10:根鉢を整理して植え替えたら生育が悪くなりました

11:プランターの植替えはいつまで可能ですか?

12:市販の培養土が軽すぎる気がします

13:古くなった土の改良方法は?

14:柱にヘデラなどのつる植物を登らせる方法

15:壁に穴を開けネットを取付け、ヘデラなどのつる植物を登らせる方法

16:壁に穴を開けないでヘデラを登らせる方法

17:壁面を均一に覆うための剪定方法は?

18:春に出た新芽が寒の戻りで傷みませんか?

19:ポット苗の植付けはいつ頃がよいですか?

20:葉色が薄くなり、新芽も少なくなりました

    植え付け半年程度の株では

2年以上生育している生育株では

21:冬でも葉が残っています。剪定してよいですか?

21:冬でも葉が残っています。剪定してよいですか?

22:新芽が途中で枯れてしまいます

23:葉が黄色くなる原因は?

24:葉に黒い斑点が出ます

【考えられる病気(一例)】

【予防薬(一例)】

【発生後の対処薬(一例)】

25:葉に白い粉が付く

【考えられる病気(一例)】

【予防薬(一例)】

【発生後の対処薬(一例)】

26:アブラムシ対策は?

【対策】

【対処薬】

27:ヘデラは何年くらい生きますか?

28:プランター植え替えは何年ごと?

29:上部ばかり茂り下部がスカスカになります

30:壁面緑化で地際がスカスカになるのを防ぐには?

31:コンクリート壁やRC屋上付近で葉焼けするのはなぜ?

32:ヘデラの品種によって植付け方法は違いますか?

33:無灌水(水やりなし)でヘデラ壁面緑化は可能ですか?

34:建築設計者向けの重要ポイント

    ヘデラ壁面緑化で最も多い失敗は

 

※知見・知識に基づき作成していますが、参照・実施にあたっては情報・環境・使用材料・品種・時期等により同一結果とならない場合があります。

 

<技術資料> ヘデラ緑化マニュアル 目次

ヘデラ緑化マニュアル  ヘデラ種緑化用品種 写真集 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

1:日光の当たらない場所でも元気に育つヘデラはありますか?

あります。ヘデラは耐陰性が高く、半日陰~日陰でも生育可能です。

おすすめ品種は

  • ヘデラ・ヘリックス
  • ヘデラ・カナリエンシス

ただし完全な北面では生育速度が低下もしくは徒長し隙間だらけになります。

 

:日陰でも元気に育てるには?

ヘデラは耐陰性が高いですが、全く光がないと徒長(ひょろひょろ伸びること)します。時折、間接光が当たる北東方向は可能で北面で入射光が無くても全天率が50%程度地上から3m程度まで解放空間が有れば可能です。

 

 

2:葉が大きく、早く壁を覆うヘデラはありますか?

あります。

代表例として

  • ヘデラ・カナリエンシス
  • ヘデラ・カナリエンシス・バリエガータ

大型葉で被覆速度が速く、壁面緑化向きです。

 

:ヘデラ・カナリエンシスを使った場合の利点と欠点

メリット

  • 被覆が早い
  • 葉が大きく緑量感が出る
  • 温暖地で旺盛に生育

デメリット

  • 寒冷地では凍害を受けやすい
  • 強い霜に弱い
  • 風当たりの強い場所では葉傷みが出ることがある

 

 

3:植栽後2年経過したヘデラですが、生育は良いのに壁面への付着が進みません

原因として

  • 誘引用ワイヤー不足
  • 壁面が平滑すぎる
  • 日照不足

が考えられます。初期は壁面に密着した植栽や誘引が必要です。ネットやワイヤーを使い、枝を壁面に密着する様に誘引します。

こうすると、ヘデラは壁面とネットの隙間を通って成長します。

 

 

4:鉢植え苗も植栽前に十分吸水させる必要がありますか?

必要です。

植栽前に10~20分程度吸水させることで活着率が向上します。

できない場合でも植栽後の十分な潅水が必要です。

施工後建築の完成が遅い場合は、元請けの監督に潅水をお願いする必要が有ります。

 

 

5:プランター植え経年品(3年以上生育)の生育が悪く、根が増えません。根を伸ばす方法はありますか?

あります。

  • ほとんどの場合「根詰まり」です。確認してください。
  • 植替えには古い根(黒色)と取って、新しい根(白系)に根鉢を整理します。
  • 一回り大きなプランターへ植替え
  • 緩効性肥料施用
  • 土壌通気性改善
  • 日陰場所では灌水が多すぎると生育が悪く耐候性が落ちる。灌水タイマーを少量もしくは間隔を広げる設定変更が必要

が有効です。

 

 

6:秋に出た新芽は冬に被害を受けませんか?

ヘデラは比較的耐寒性があります。関東東京23区ではあまり起きません。

ただし寒冷地や風当たりの激しい場所では

  • 寒風
  • 凍結
  • 乾燥

による葉傷みが発生します。

 

 

7:植栽時に堆肥と有機肥料を大量に入れたら夏に枯れました。原因は?

主な原因は

  • 肥料焼け
  • 甲虫の発生で根が食害された
  • 過湿
  • 根腐れ

です。

有機肥料やバーク・ピートモスを多用すると、甲虫の幼虫が発生し根を食害します。

甲虫被害の場合、地上部に影響が出たときには手遅れのケースが多い。このケースでは土壌を取替し植え直しになります。

ヘデラは肥料を多く必要としません。

有機肥料は問題が発生しやすいので、化成肥料を使います。

 

 

8:固形有機肥料と緩効性化成肥料の使い分けは?

一般家庭では

  • 春:緩効性化成肥料
  • 秋:有機肥料

が管理しやすいです。壁面緑化では緩効性化成肥料が一般的です

 

 

9:5月下旬に植え替えたら葉がしおれました

植替えストレスによる一時的な症状です。

対策

  • 半日陰管理
  • 強風回避
  • 過度な施肥を避ける
  • 甲虫による食害(7:植栽時に堆肥と有機肥料を大量に入れたら夏に枯れました。原因は?)を参照

 

 

10:根鉢を整理して植え替えたら生育が悪くなりました

ヘデラは細根が多く、根を切りすぎると活着が遅れます。

根鉢をなるべく崩さなく、緩める程度で植えるのが推奨されます。

 

<技術資料> ヘデラ緑化マニュアル 目次

ヘデラ緑化マニュアル  ヘデラ種緑化用品種 写真集 

 

11:プランターの植替えはいつまで可能ですか?

最適期

  • 3~5月
  • 9~10月

真夏と厳冬期は避けます。

 

 

12:市販の培養土が軽すぎる気がします

問題ありません。

通気性・保水性を重視して配合されている為と推測します。欠点は水切れが早く、肥料もちが低いのでメンテナンスが必要です。

プランター・大型鉢で長期に生育させるには

  • 赤玉土
  • 軽石

を加えると安定性が向上します。

有機肥料やバーク・ピートモスが多い培土を使用すると、甲虫の幼虫が発生し根を食害が発生しやすい。

 

 

13:古くなった土の改良方法は?

  • 表土入替え
  • 堆肥追加
  • 通気管を挿し、通気と排水の改善
  • pH調整

を行います。

 

 

14:柱にヘデラなどのつる植物を登らせる方法

  • ステンレスワイヤー
  • 樹脂ネット

を設置して誘引します。登坂させる高さを決めておき定期的な剪定が必要です。

 

 

15:壁に穴を開けネットを取付け、ヘデラを登らせる方法

  • アンカーで固定する方法
  • ステンレスワイヤー
  • メッシュパネル

を設置して誘引します。登坂させる高さを決めておき定期的な剪定が必要です。

建物から50~150mm離して設置すると管理しやすくなります。

 

 

16:壁に穴を開けないでヘデラを登らせる方法

注意が必要です 

  • 壁に直接登坂させると気根が壁に貼り付き壁面の隙間に入り込みます。
  • 壁面強度が落ちている、隙間がある、雨あたりがある、剪定管理が難しい場所は、後で不具合が発生しやすくなります ので止めた方がよい。
  • 実施に当たっては、壁面をまず修理します。工事には防水工事を必ず実施します。
  • 壁面に直接が付くので壁の強度と表面に根が取り付く粗面が必要です

 

 

17:壁面を均一に覆うための剪定方法は?

春~初夏に

  • 先端摘心
  • 側枝発生促進

を行います。被覆密度が高まります。

株元から枝分かれさせる必要が有ります。植栽時より計画を立てて選定作業が必要です。

 

 

18:春に出た新芽が寒の戻りで傷みませんか?

若い新芽は遅霜で傷むことがあります。

寒冷地では品種の選定が必要です。

耐寒性品種:

コモンアイビー・ソーンデール

コモンアイビー・バルティカ

 

 

19:ポット苗の植付けはいつ頃がよいですか?

最適期は

  • 3~5月
  • 9~10月

植付後の生育は花壇の土壌の質によります。土壌の用意も忘れずしましょう。

標準苗(高さ15cm程度の苗)を植えた場合、初年度は正常に生育していても30cm程度しか成長しない場合が有ります。

 

 

20:葉色が薄くなり、新芽も少なくなりました

考えられる原因

植え付け半年程度の株では

水切れ

土壌保水性・深さ不足

根張り不良

肥料焼け

病害虫被害

 

2年以上生育している生育株では

  • 根詰まり
  • 肥料不足
  • 日照不足
  • 老化

土壌の整備・植替えと施肥、病害虫確認を検討・実施します。

 

<技術資料> ヘデラ緑化マニュアル 目次

ヘデラ緑化マニュアル  ヘデラ種緑化用品種 写真集 

 

21:冬でも葉が残っています。剪定してよいですか?

問題ありません。

ヘデラは常緑性のため落葉を待つ必要はありません。

 

 

22:新芽が途中で枯れてしまいます

原因

  • 乾燥
  • 根腐れ
  • 高温障害
  • ハダニ

などが考えられます。

 

23:葉が黄色くなる原因は?

主な原因

  • 過湿
  • 根詰まり
  • 肥料不足
  • 強光障害
  • 甲虫の幼虫による根の食害

 

24:葉に黒い斑点が出ます

【考えられる病気(一例)】

  • 炭疽病
  • 斑点病

風通し改善と薬剤防除が有効です。

黒点病使用薬剤

【予防薬(一例)】

・オーソサイド

・TPN水和剤(ダコニール1000)

・チオファネートメチル水和剤(トップジンMゾル)

・トリホリン(サプロール)乳剤

・ベノミル(ベントーレ)水和剤 など

【発生後の対処薬(一例)】

殺菌剤

・ダコニール

・トリホリン(サプロール)乳剤

・ベニカX

・マネージ乳剤など

 

 

25:葉に白い粉が付く

【考えられる病気(一例)】

うどんこ病の可能性があります。

発病葉を除去し薬剤散布を行います。

【予防薬(一例)】

うどんこ病使用薬剤

・カダンD

・炭酸水素ナトリウム(ハーモメイト)水溶剤

・トリホリンエアゾル(オルトランC)

・トリホリン(サプロール)乳剤

・トリフミゾール(トリフミン)水和剤

・TPN水和剤(ダコニール1000)

・ポロポンV

・ビテルタノール(バイコラール)水和剤など

【発生後の対処薬(一例)】

・カリグリーン

・殺菌剤

・サプロール乳剤

・テトラコナゾール液剤(サルバトーレME)

・ベニカX

・ミルディオマイシン(ミラネシン)水溶剤など

 

 

26:アブラムシ対策は?

【対策】

  • 水で洗い流す
  • 粘着トラップ
  • 登録薬剤散布

が有効です。

【対処薬】

・アセフェート(オルトラン)

・トリホリンエアゾル(オルトランC)

・ピリミホスメチル(アクテリック)乳剤

・プロチオホス(トクチオン)乳剤

・ベニカX

・ベニカDスプレー

・マラソン乳剤

・MEP(スミチオン)乳剤 など

 

 

27:ヘデラは何年くらい生きますか?

適切な管理で20~50年以上生育します。

海外では100年を超える事例もあります。

 

28:プランター植え替えは何年ごと?

プランター・鉢植えでは

  • 2~3年ごと

が目安です。

 

29:上部ばかり茂り下部がスカスカになります

原因は光を求めて上に成長する性質が強いからで、下部に新芽を出す作業が必要です。

中間部・下部の枝を残しながら剪定すると改善します。

 

30:壁面緑化で地際がスカスカになるのを防ぐには?

  • 定期摘心
  • 地際への追肥
  • 下部枝の保護
  • カバープランツなどの低木種を株元に植栽する事をお勧めします。

 

<技術資料> ヘデラ緑化マニュアル 目次

ヘデラ緑化マニュアル  ヘデラ種緑化用品種 写真集 

 

31:コンクリート壁やRC屋上付近で葉焼けするのはなぜ?

原因は

  • 輻射熱
  • 乾燥風
  • 高温反射

です。

特に夏季の壁面温度は60℃以上になる場合があります。

耐暑性の高いヘデラ品種を選びますが限界も有ります。

耐暑性品種:

コモンアイビー・ソーンデール

コモンアイビー・バルティカ

 

32:ヘデラの品種によって植付け方法は違いますか?

基本は同じですが

  • 小葉種:密植向き
  • 大葉種:広面積向き
  • 斑入り種:半日陰向き

という違いがあります。

 

33:無灌水(水やりなし)でヘデラ壁面緑化は可能ですか?

雨水がかかる場所でも、植栽後1~2年は灌水が必要です。

活着後は地植えなら降雨のみでも維持可能な場合がありますが、

  • 南向き壁面
  • RC建物
  • 屋上

では補助灌水設備を推奨します。

完全無灌水は長期的にはリスクがあります。

 

34:建築設計者向けの重要ポイント

ヘデラ壁面緑化で最も多い失敗は

  1. 土壌容量不足
  2. 夏季の壁面高温
  3. 剪定不足による疎密発生・葉が上部に密生、肥大化
  4. 防水層・外壁への直接付着 、壁面隙間からの進入
  5. 維持管理計画不足

です。

特に近年の都市酷暑環境では、耐陰性よりも「耐暑性・耐乾燥性・根域確保」が長期安定緑化の重要条件となっています。建築物への採用時は、植栽基盤容量・灌水計画・剪定動線を設計段階から検討することが成功の鍵です。

 

 

ヘデラ緑化マニュアル  ヘデラ種緑化用品種 写真集 

 

<技術資料> ヘデラ緑化マニュアル 目次

 

壁面緑化設計ノート

お問合せ・カタログ請求

※は必須項目です。


お問合せ・カタログ請求

<納入にあたってのお知らせ>

※ 納入地域・納入数量等により、お断りする場合があります。

※ 苗の販売は行っておりません。

※ 原則として個人住宅への納入はご遠慮させていただいております。