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キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

14 化学突然変異育種 実験講座”12 キリンソウ緑化の欠点:茎倒れ

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キリンソウの枯れ枝メンテナンスどこまで気にするか
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化学突然変異育種 実験講座”11 突然変異で変化するキリンソウの姿

にて茎直径と草姿について解説しました。キリンソウ緑化の「倒れ現象」は、メンテナンスをする上で非常に厄介な問題となっている。

 

キリンソウ緑化でよく使われている2品種と、ほふく性品種「四季彩7」の冬の草姿を確認してみよう。

写真①立性種、②立性種、③開張種では、直立茎が倒れた状態で枯れている。直立種、開張種では枯れた後に刈込メンテナンスはできないので緑葉時期に行う事が必須となる。

写真のようになる前に刈込メンテナンスが必要である。

写真④ほふく種は、枯れ枝が立ち上がらないので刈込メンテナンスなしの放置も

可能である。

 

冬枯れの状況写真

 

写真① 立性種 開張型

立性種 開張型

 

写真② 立性種

立性種

 

写真③ 冬至芽の生長が早く、茎径の細い開張型種

冬至芽の生長が早く、茎径の細い開張型種

 

写真④ 冬至芽の生長が遅く、茎径の太い開張種

冬至芽の生長が遅く、茎径の太い開張種

 

写真⑤ ほふく種

ほふく種

 

 

解説

常緑性キリンソウ

直立性種  :大型種 茎径6mm~10mm

右側写真  :茎は直立で6月に新芽の発生はない

茎の強さで直立する。冬期に向け萎縮湾曲化して

枯れ状態となる場合が有る。

刈込メンテナンスは必要

メンテナンス:しないと写真①もしくは②の状態になる

 

6月9日 生育状況:

草丈30cm程度に成長 茎6mm以上と太く株元より直立成長する

草丈30cm程度に成長

株元より直立成長する

 

3月27日 枯れ枝と新芽の状況

冬枯れ枝は太い状態で萎縮して曲がった状態で枯れるため自然風化しない

枯れ枝と新芽の状況

 

 

写真② 冬枯れの状況

太く萎縮して曲がったい状態で枯れるため大面積になるとか景観を損なう。

メンテナンスを放置すると、枯れ枝が絡まり刈取は非常に難しくなる

冬枯れの状況

 

開張型突然変異種

開張型   :中型種   茎径4mm

右側写真  :茎は直立で6月に新芽の発生はない

1株180本程度の茎が発生、

周囲茎は内部より押し出され広がり開張型となる

ネット設置の場合、ネットを越してから開張となる

刈込メンテナンスは必要

メンテナンス:しないと写真③もしくは①の状態になる

 

6月9日 生育状況:

茎径4mm 茎長20cmの茎が株あたり180本密生する。

株中心部の茎が成長に伴い外側に押し広げて開張型となる。

最外周枝は倒れながら先端葉上向きに成長、接地部分から発根する。

 

 

3月27日 細枝開張種の枯れ枝と新芽の状況

冬至芽の生長が早い種では株中心部は目立たなくなる

茎径4mm 茎長20cmの茎が株あたり180本の密生開張種の

枯れ枝の細い部分は風化する事が多い。

細枝開張種の枯れ枝と新芽の状況

 

写真④ 太枝開張型の冬枯れの状況

茎径4mm以上 茎長20cmの茎が比較的少ない密生開張種の場合

枯れ枝の太い部分は風化せず残るので刈取メンテナンスは必要。

太枝開張型の冬枯れの状況

 

 

ほふく型種 種苗登録申請種 四季彩7

ほふく型  :中型種   茎が曲成長  茎径4mm

草丈は10cm程度、ネットの中で茂り

メンテナンスは状況によって考慮できる

メンテナンス:ほふく種「四季彩7」は、枯れ枝が立ち上がらないので

刈込メンテナンスなしの放置も可能である。

 

6月9日 生育状況

茎が曲がり地表を這って成長する

花序(花房)は手毬状に固まり成長する

茎が曲がり地表を這って成長する

写真⑤ 1月11日 ほふく種 四季彩7の冬枯れの状況

四季彩7の枝は、ほふく状態で枯れるためネットが有っても

表面に出る枝は少なくなりメンテナンスは状況により判断と容易になる

ほふく種 四季彩7の冬枯れの状況

3月27日 枯れ枝と新芽の状況

四季彩7は冬至芽の生長が早く、株元の枯れ枝は覆い隠されている

枯れ枝と新芽の状況

以上の事より、直立種、開張種の倒れは、成長し茎が支えきれなくなる事で起きる。

あるいは花序等の重みで倒るなどの後発条件で倒れている。

 

屋上緑化では一般に風による飛散対策で、各社全てのシステムで防風・飛散防止ネットは標準設置となっている。

ネットは屋上緑化完成後に緑化面を覆うように掛ける。ネットと植物との高さ余裕は5cm~10cm程度と経験上思われる。そのため植物の草高さを15cm程度に抑えないと刈込メンテナンスが必要となる。残念ながら現時点で市販されているキリンソウ(コーカサスキリンソウを除く)は30cm程度まで成長する品種が多く、刈込メンテナンスをしなければいけない。

 

直立型のキリンソウの場合、防風・飛散防止ネットを越して成長した茎がネット上に倒れた場合、刈込メンテナンスを刈り払い機で作業できず、手作業となりコストがかかる。あるいはメンテナンスをしない場合はネット上に枯れ枝が長期に残る。

新芽が枯れ枝を隠すには5月頃まで待たなければならない。

 

ちはい型は、茎が曲がる事で立ち上がらず、ちはい成長するため地面から15cm

を越える直立が少ない。枯れ枝は地面に接した状態で枯れている場合が多く、ネット上から刈込みは難しく放置してもネット内で新芽で4月頃覆われる。

 

ちはい型「四季彩7」はタケシマキリンソウの新品種で、

2024年から株式会社三稲ガーデンより発売される予定である。

問い合わせ先

株式会社三稲ガーデン 担当 玉木

株式会社三稲ガーデン|東京都墨田区 (mitsuine.jp)

お問い合わせ|株式会社三稲ガーデン 東京都墨田区 (mitsuine.jp)

 

当ブログは化学突然変異実験の手法紹介であり、参考にして実験した結果を保証するものではありません。

試験は発がん性物質を使いますので、適合資格者が取扱い責任を果たし、自己責任で行動してください。

 

次回

キリンソウ化学突然変異実験の段取りと要点

キリンソウ緑化への挑戦

ついて解説します。

 

東京都市大学 総合研究所 客員研究員 山下律正

連絡先:yukistr@oboe.ocn.ne.jp

問合せは、“化学突然変異の件”とタイトルを付けてください

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