キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
10化学突然変異育種 実験講座”10 花を変異する :キリンソウの欠点「枝刈りメンテを無くす」
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緑化で求めるキリンソウは剪定メンテナンス不要品種
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実験講座10では花について焦点を当てる
その前にキリンソウの将来性について考えてみよう
緑化用途でキリンソウは「屋上緑化の耐候性を高め枯れを防ぐ+潅水を無くす」を目的に多用され、屋上緑化の主品種であるセダム類に代わる有望品種と言われている。
2021年屋上緑化の実績(国土交通省公表値)セダム緑化78,886㎡の73%が薄層緑化(セダム・キリンソウ緑化)されていると推定させる。
セダム薄層緑化全てを20ポット/㎡でキリンソウで植栽すると、1,144,940ポット必要となる。
緑化で使用するキリンソウの花を「鑑賞するかしないか?」の問いに意見が分かれるのではないでしょうか。植栽された場所が所有者の見える場所ではYES、見えない場所ではNOが多いと思いますが、剪定メンテナンスを考慮すればNOではないでしょうか。
緑化用途植物に求められるのは
メンテナンスが少ないが普及の第1条件となります。
キリンソウ緑化も優先順位からすると、①開花しない種 ②花が目立たない ③開花しても枝葉伸びて覆い隠すが望まれると思われます。
① 開花しない品種
突然変異技術で開花しない種を作るのは非常に難しい、花は種保存の基本生理で、一時的に無くしても長期間で見ると、開花年が必ず出現する。タケシマキリンソウではこの期間は3~5年と思われるが正式報告として公表はされていない。
著者の試験においても3年無開花種は有るが永久に維持するかは検証中である。
② 花芽が目立たない品種
突然変異処理をすると、花数が少なる種は多く出現する。
草姿との関連は無く、大型種~小型種、濃緑種~ライトグリーン種いずれにおいても出現する。
③ 開花しても枝葉伸びて覆い隠す
悪い景観が目立つのは、花枯れ後の状態が大きく影響する。花序(花房)が成長を続け新葉で枯れ花を覆い隠せば外見はきれいに見える。
タケシマキリンソウの標準的な花 直径5~8cm
11月頃まで放置した状態
花芽が目立たない品種
小型花序品種で開花枝が花終了後に枯れて自己消滅する品種
花の非常に少ない改良種
花序(花柄)が開花後成長を続ける改良種
この種では花は1~数個のみで、目視では「開花は無い」と見える
花序(花柄)が開花後成長を続ける改良種
この種では花は複数あるが散発的着花となる、花終了後は花柄が成長を続け花序を覆い手毬状となる
淡緑色 手毬状花序
花序の新葉色が淡緑色となり花よりも先に成長、花は手毬の中に隠された状態で開花する。
濃緑色 手毬状花序
花序の濃葉色が花と同時に成長、花は手毬の中に隠された状態で開花する。
枯れないタイプの花序の良く見られる開花と新葉の生育状態
追加
白花タケシマキリンソウ
★花に付加価値を付ける。新品種
花の色を黄色から白色変えた改良種 その他の特性はタケシマキリンソウと同じ
白花は景観上からも素晴らしい
残念ながらキリンソウは緑化用途が主で、花色の変化を要求される時代の到来を期待する。
当ブログは化学突然変異実験の手法紹介であり、参考にして実験した結果を保証するものではありません。
試験は発がん性物質を使いますので、適合資格者が取扱い責任を果たし、自己責任で行動してください。
次回は
化学突然変異育種 実験講座”11 変化する姿 :キリンソウ草姿について
について解説する。
タケシマキリンソウは基本直立立性から始まり、松状に新枝が発生する種が多かったが新品種はいろいろな形状が生まれている。
東京都市大学 総合研究所 客員研究員 山下律正
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