キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
キリンソウ、セダム類の屋上緑化・壁面緑化 春と秋の挿し芽増殖方法
屋上緑化の春・秋の挿し芽メンテナンス
キリンソウ、セダム類の挿し芽増殖ノウハウ
11月に入りそろそろ屋上緑化の手入れをお考えではないでしょうか?
気候変動が激しくなる中で、耐候性の高いセダム類、キリンソウ類の緑化でも、部分的に衰退した箇所を発見すると修理をしたくなります。簡単に手入れする挿し芽方法を解説します。
挿し芽の切取状態


ポットに挿し芽した状態






挿し芽の方法をAIに相談する事が多いと思います。回答がすべて正しくノウハウが無い場合も有るので
今回はAIの回答と間違っている点、最後にAIが知らないノウハウを解説します。
参考にしてください。
AIに「セダム類、キリンソウ類の挿し芽方法と時期を教えて」と質問すると次のような回答します。
AI回答:
セダム類(マンネングサ属)やキリンソウ類(ベンケイソウ属)は、乾燥に強く、多肉質の植物であるため、**挿し芽(さしめ)**による増やし方が非常に簡単で一般的です。
📅 挿し芽の最適な時期
挿し芽の最適な時期は、植物の生長が活発になる春から初夏、または秋です。
| 時期 | 詳細 | 理由 |
| 最適期 | 4月(5月)~6月頃 | 多くの種類が生長期に入り、気温が上がり始めるため、発根(根っこが出ること)が最も早く、成功率が高くなります。 |
| 準最適期 | 9月~10月頃 | 夏の暑さが落ち着き、再び生長を始めるため、発根の成功率が高いです。 |
| 避ける時期 | 真夏(7月下旬~8月) | 高温多湿で蒸れやすく、挿し穂が腐敗しやすくなります。 |
| 避ける時期 | 真冬(12月~2月) | 休眠期に入るため、発根に非常に時間がかかります。 |
🌱 セダム類、キリンソウ類の挿し芽方法
セダムやキリンソウは、非常に生命力が強く、挿し穂(さしほ)から簡単に発根します。
- 挿し穂の準備
| ステップ | 詳細 | ポイント |
| ① 穂の採取 | 元株の先端や、元気な茎を選び、2〜5cm程度(4節以上)の長さに切り取ります。キリンソウのように背が高くなる種類は、もう少し長く(10cm程度)ても構いません。 | 節(葉の付け根)がある部分を必ず含むように切ります。 |
| ② 下葉の整理 | 土に埋まる部分の葉は、すべてきれいに取り除きます。葉が土に触れると、そこから腐敗の原因になるためです。 | 葉を軽くちぎるだけで、葉の付け根から簡単に発根することもあります(葉挿し)。 |
| ③ 切り口の乾燥 | 挿し穂を風通しの良い日陰に置き、切り口を2〜3日乾燥させます。 | 切り口から雑菌が入るのを防ぎ、水分の蒸散を抑え、発根を促すための重要な作業です。 |
- 用土と挿し付け
| ステップ | 詳細 | ポイント |
| ① 用土の準備 | 赤玉土の細粒、または鹿沼土など、水はけが良く、肥料分の少ない清潔な土を使用します。市販の多肉植物・サボテン用培養土でも構いません。 | 雑菌や肥料分が多いと、発根前に腐りやすくなるため、清潔な土が必須です。 |
| ② 挿し付け | 乾燥させた挿し穂の切り口を、準備した用土に1〜2cmほど(2節以上)挿します。セダムのように小さなものは、土の表面にそっと置くだけ(置き挿し)でも発根します。 | 茎がグラグラしないように、土を軽く押さえます。 |
| ③ 水やりと管理 | 挿し付けた直後(または置き挿しした直後)は、水を与えません。 | 1週間~10日ほど経ってから、土の表面が乾いたら軽く水を与え始めます。 |
| ④ 発根後の管理 | 風通しが良く、明るい日陰で管理します。発根には通常2週間〜1ヶ月程度かかります。根が出て定着したら、徐々に日当たりの良い場所に移動させます。 |
💡 成功のコツ
- 過湿を避ける: セダム・キリンソウ類は多肉植物なので、過剰な水分は腐敗の最大の原因です。発根までは水やりを極力控えます。
- 清潔な用土: 雑菌が少ない用土を使用し、挿し穂の腐敗リスクを下げます。
- 日陰で管理: 発根するまでは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。日光が強すぎると、根が出る前に挿し穂が消耗してしまいます。
さらにノウハウを付け加えると
- AIの間違いを(赤字)で直しています。
- 屋外で挿し芽可能な期間は5月~10月中旬(夏季は除く)
- 屋外現場では、開花前と11月以後の挿し芽は成功率が低い
- 春期の、茎伸長中は発根が難しい
- 秋期は、気温が10度近くなると発根しない。ただし温室栽培品は異なる。
- 挿し芽長さは、茎の節数で最低4節以上必要。地中に2節、地上に2節以上ある事
- 挿し芽は1箇所に2本挿す。
- 挿し芽は、当年成長した茎(昨年秋に新芽が成長した枝)を切る。当年成長枝の先端は枯死するので切って使う。ただし株元に近い部分には新芽が出るので残す。
- 土厚が浅く直立に挿せない場合は、斜めに挿す。
- 風当たりが強い場所は、残っている株元の風下に、風の流れに沿って斜めに挿す
- 挿し芽後の潅水は不要
セダム類、キリンソウ類の挿し芽増殖法はノウハウを基本にすると成功率が高いので参考にしてください。
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