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キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

酒を電気分解で促進醸造する技術 第3回  97年前の忘れ去られた技術 電気分解の克服課題

昭和4年に達すると、清酒の原料である米・麹を用いることなく清酒を作る合成法を編み出したのである。

これは酵母の作用を使うことなく電流の作用を元に電極間に起きるイオンの受け渡しで短時間に合成する手法を意味し「電化式清酒合成法」と命名された。

この合成法は各種アミノ酸をアルコールに溶解し電気分解により清酒の香気・味を発生させる製造法である。この方法を用いれば清酒の醸造の成否を決める発酵工程を無くす事で、腐敗・酢への変質・香気の変質・甘味・コクなどの杜氏芽が経験的に操作していたノウハウを皆無にする事が出来、米の仕入れを行わず、最低の資金で必要な時に必要な量の生産が可能となる画期的な技術で有った。

何といっても、昭和初期は米の配給制度の最中であり、米の入手はその年の作柄に影響を受ける不安定な事業であったからである。

 

しかしながら当時の技術では克服できない問題も多く存在した。

その代表例は

1 アルコールが電気分解による酸化によりアセトアルデヒド、酪酸が生じこれの酪酸エチルエステルが生じる 酪酸エステルは強い臭いがあり メルカプタン臭に近い銀杏や糞、雑巾の匂いが近い。 臭い食べ物として有名な中国の「臭豆腐」にも共通し、清酒にはマイナスの臭気となる。

 

2 アミノ酸類が電気分解により化学的酸化を受けオキシ酸を生じる。

オキシ酸はカルボン酸の一種であり、ヒドロキシカルボン酸、アルコール酸などが含まれる

一般にカルボン酸近傍にヒドロキシ基を持つヒドロキシ酸の場合、誘起効果により相当する単純なカルボン酸よりも高い酸性を示す。添加したアミノ酸類は同様に乳酸を生ずる。

 

3 アミノ酸を電気分解すると中間生成物としてアルデヒドを生ずる。

アセトアルデヒドは血管を拡張させ、神経を圧迫し炎症をおこし痛みを発生させます。広がった血管からは水分が漏れ出し、血管を取り巻く組織や脳にむくみが発生し、神経を圧迫し痛みを発生させる。

一方、アルデヒドは日常生活において、その独特な香りと抗菌性のために多岐にわたる用途で利用されている。香料としては、天然の芳香成分も多く、合成香料の原料とのアルデヒドは、食品、飲料、香水、芳香剤などに合成され特定の香りを与える役割を果たします。特定のアルデヒドは、果物や発酵食品などの自然な風味成分として存在し、これらの風味を模倣するために食品添加物として添加される。

アルデヒドは酸化されやすく、酸化されることでカルボン酸に変換され異臭の原因ともなる。

 

電気分解による副産物は想定されとは言え、清酒の香気成分に大きくマイナスを発生させる事となった。

しかし、添加成分を調合する事で克服していく過程は第4回で解説する。

 

参考資料:日本醸造協會誌 第二十四年

 

屋上緑化システム株式会社

技術顧問 山下 律正

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