キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正
化学突然変異育種 実験講座”12 突然変異試験に最適な時期と準備
実験講座”12 突然変異試験に最適な時期と準備
化学突然変異育種 実験講座”11 突然変異で変化するキリンソウの姿 では、茎直径と草姿について解説しました。12回はセダム種を含む多年生植物の最適な試験開始時期について解説します。
突然変異試験は健康な植物が有ればいつでも可能と思われがちです。その通り温度設定できる実験室で試験をすれば可能です。しかし、突然変異試験の変化率を高める事が最優先として考えなければいけません。
その為には、1年の中でどの時期に試験をすればよいかは重要なカギとなります。
実験に用いる植物の種類にもよりますが、大半の植物は初春発芽~春生長~初夏開花~秋結実~冬休眠のライフサイクルの中で生きています。
このサイクルを考えれば芽出しの初春~初夏が理想と判ります。
最適には休眠から覚める時期が最も突然変異発生率が高くなります。これは、2つの理由があり
1.生体ホルモンが活発に活動していなく、発芽ホルモンのみ活発に活動するので効果化が発現しやすい。
2.代謝がほぼ停止状態で、試験薬が局所に遅滞しやすく拡散しない。
3.高濃度の試薬を使用しても枯死が少ない
の理由より、
もっとも最適な時期は、発芽開始直後が経験上適しています。
大学ゼミで実験する場合は、たぶん6月頃の開始でしょうから適期は逃しているので結果は公表値より下がります。この場合LD50の値を試験時期に合わせて高濃度で実験する必要があります。
単純に、薬剤の曝露時間を延ばせばよい考えが浮かぶと思いますが、これは間違いです。
全ての時期を通じ、特に初夏に実施する試験には、準備しないといけない条件がいくつかあります。
1.調温・調温:試験体を暗所で10度以下に数日置き、代謝を下げる
2.乾燥:体内の対処を極限まで低下させます
3.試験体の大きさ:最小限の大きさに調整し、試薬の拡散を防ぎます。
4.試験直前で試薬調整する。ほとんどの薬剤は有効時間があり、試験体を調整した時点より効果は低下していきます。
5.試薬の可溶性を調査し、水溶性が低い場合は界面活性剤を用意する。事前に可溶試験を行い植物に影響ないか調べておく
6.pH を6~7付近に調整準備をする。
初夏近くになると側芽が多数発生しこれを元に実験を開始する事も多くなりますが、成長芽を使った試験の仕方については次回13回で解説します。
元 東京都市大学 環境学部 環境創生学科 客員研究員
山下 律正
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