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壁面緑化設計ノート屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

バラを使った壁面緑化の Q&Aマニュアル <建築設計担当者向け 専門管理Q&A>

<建築設計担当者向け 専門管理Q&A>

ビギナー向けバラ緑化の仕方から建築設計担当者向けた解説まで、壁面緑化で起きるQ&Aを場面ごとに解説します。

※回答は著者の経験より回答しています。至らない内容がございましたらご容赦ください。

<建築設計担当者向け 専門管理Q&A>

目次

1:バラによる壁面緑化は、一般的な壁面緑化と何が違いますか?

2:壁面緑化用のワイヤーやメッシュを建物に取り付ける際、バラの自重や風荷重はどの程度見込めばよいか?

3:設計段階で最も重要なポイントは何ですか?

4:外壁へ直接這わせる設計は問題がありますか?

5:RC壁面へのアンカー施工時の注意点は?

6:壁面バラ緑化で想定すべき荷重は?

7:壁面温度低減効果はありますか?

8:南面・西面で設計上注意する点は?

9:建築設計者が見落としやすい維持管理上の問題は?

10:病害虫管理で設計的に重要なことは?

11:壁面バラ緑化に自動灌水は必要ですか?

12:壁面緑化としてバラを採用するメリットは?

13:壁面バラ緑化で推奨される品種特性は何が重要か?

14:壁面緑化植栽ガイド

  壁面緑化植栽ガイド 壁面緑化で使用される植物の種類と特徴を写真解説付きで解説

15;壁面緑化設計ノート 

 壁面緑化のあらゆる疑問を解説したブログ

 

 

1質問:バラによる壁面緑化は、一般的な壁面緑化と何が違いますか?

回答:壁面バラ緑化は、ヘデラ・ナツヅタなどの自己吸着型植物と異なり、ワイヤー・支柱等の支持構造を必要とする「誘引型壁面緑化」です

そのため設計時には、

支持金物強度、アンカー耐力、風荷重、維持管理動線、剪定スペース、外壁メンテナンス性、の検討が必要であり維持管理費が必要となります。

また、バラは落葉性が多く、季節による景観変化が大きい点も特徴です。年間を通じ維持管理頻度が多くなる傾向が有ります。

 

2質問:壁面緑化用のワイヤーやメッシュを建物に取り付ける際、バラの自重や風荷重はどの程度見込めばよいか?

回答: バラは成長すると、太い幹と無数の枝、そして大量の葉をつけます。特に「雨が降った直後の満水時(湿潤状態)」かつ「台風などの強風時」に最大の負荷が金具にかかります。

・重量基準: 成長したつるバラの湿潤時総重量は、1㎡あたり約15kg〜25kgに達します。

・耐風圧基準: 葉が密集したつるバラは風をまともに受ける(受風面積が大きい)ため、東京23区等の基準風速38m/sを考慮すると、壁面金物には1㎡あたり1,500N/㎡〜2,500N/㎡(約150〜250kgf/㎡)の引抜・せん断荷重がかかると想定して、アンカーの強度計算を行う必要があります。

受注業者に仕様書の提出を求めましょう。

参照・引用文献

    • 国土交通省 大臣官房 官庁営繕部「官庁建築物緑化設計基準・同解説」
    • 一般社団法人 日本壁面緑化協会「壁面緑化システム構造設計実務マニュアル」

 

3質問:設計段階で最も重要なポイントは何ですか?

回答:最重要は「根域容量」と「維持管理計画」です。

壁面緑化では地上部デザインが優先されやすい一方、根域不足による数年後の衰退が非常に多く見られます。

大型つるバラでは、最低でも:

  • 幅600mm以上、深さ500mm以上、40~80L以上、程度の植栽基盤確保が望まれ図書への記載が必要です。

また、設計時点で:

  • 剪定作業、誘引更新、防除、灌水、外壁補修、が可能かを検討しておく必要があります。

 

4質問:外壁へ直接這わせる設計は問題がありますか?

回答:推奨されません。

理由として:

  • 通気阻害、湿気滞留、外壁劣化、清掃困難、病害増加、熱こもり、などがあります。

設計上は、壁面と植物層の間に100~150mm程度の通気層を設ける方法が推奨されます。

特にALC外壁・通気工法外壁・外断熱工法では注意が必要です。

既成のワイヤーメッシュ式・ネット式壁面緑化を支持材に使用する事ができます。

 

5質問:RC壁面へのアンカー施工時の注意点は?

回答:防水層・躯体損傷、塗装のタッチアップ等の漏水リスクへの配慮が必要です。

特に穿孔は漏水原因になる可能性がありシーリング材の塗布を設計図書に記載が必要です。

施工時には、下地位置確認、防水詳細確認、アンカー深度管理、SUS金物採用が重要です。

新築工事では、構造図への記載が必要です。

 

6質問:壁面バラ緑化で想定すべき荷重は?

回答:設計時には「植物重量+含水重量+風荷重」を考慮する必要があります。

開花・降雨時には重量が急増します。

大型つるバラでは、

・重量基準: 成長したつるバラの湿潤時総重量は、1㎡あたり約15kg〜25kgに達します。

・耐風圧基準: 葉が密集したつるバラは風をまともに受ける(受風面積が大きい)ため、東京23区等の基準風速38m/sを考慮すると、壁面金物には1㎡あたり1,500N/㎡〜2,500N/㎡(約150〜250kgf/㎡)の引抜・せん断荷重がかかると想定して、アンカーの強度計算を行う必要があります。

枝葉重量、雨水保持、強風時揺れ、により、想定以上の荷重が発生します。

特に高層部・角地・海岸部では風圧の影響が大きくなります。

下地材の種類と仕様により強度が出ない場合が有り、その場合はアングルなどを緑化区画周囲に設置しこれで強度を確保します。設計担当者・現場監督・施工業者で協議事項として打合せします。

 

7質問:壁面温度低減効果はありますか?

回答:あります。

植物被覆によって日射遮蔽、蒸散冷却、輻射熱低減、が生じます。

西日面では外壁表面温度が10~20℃程度低減した事例も報告されています。

ただし、効果は被覆率、葉量、方位、通風により大きく変化します。

 

8質問:南面・西面で設計上注意する点は?

回答:最大の問題は「根域高温化」です

壁面反射熱により、夏季には培土温度が著しく上昇します。

特に金属プランター、小型コンテナ、黒色資材、では高温障害が発生しやすくなります。

対策として断熱型植栽槽、遮熱マルチ、自動灌水、通気性基盤が有効です。

プランター仕様、地植えでは花壇の土壌深さ、自動潅水設備を記載します。

 

9質問:建築設計者が見落としやすい維持管理上の問題は?

回答:「数年後の繁茂量」を過小評価することです

完成時は美観上適正でも、3~5年後には:

  • 窓塞ぎ、雨樋干渉、避難経路支障、防犯性低下、害虫潜伏、が発生することがあります。

そのため、更新剪定計画、誘引更新スペース、年間維持費、を初期段階から検討する必要があります。

バラ緑化を実施するにあたり施主に維持管理契約を施工業者と施工時より結びことを義務とする必要が有ります。

 

10質問:病害虫管理で設計的に重要なことは?

回答:最重要は「通風設計」です。

バラでは黒星病、うどんこ病、ハダニ、などが問題になります。

密植や壁面密着は病害を増加させるため、

枝間隔、通風層、剪定管理を確保する必要があります。

また、灌水設備は「葉を濡らさない方式」が理想です。

図面に仕様として記載が必要、潅水設備は電源式を図書に記載する。現場で変更する場合でも維持管理契約が締結されている事が条件とする。

 

11質問:壁面バラ緑化に自動灌水は必要ですか?

回答:中~大規模案件では推奨されます。

壁面植栽では、乾燥ムラ、水切れ、管理者依存、が問題になりやすいためです。

特に点滴灌水は、節水、病害低減、均一給水、に優れています。

夏季西面では自動灌水の有無で生育差が大きくなります。

電源式年間タイマーを図書に記載する。

 

12質問:壁面緑化としてバラを採用するメリットは?

回答:最大の特徴は「景観価値」と「季節演出性」です。

特に開花景観、香り、立体演出、ブランド性、に優れています。

ホテル・商業施設・ガーデン施設では、集客景観として高い効果を持ちます。

一方で、維持管理頻度、病害管理、誘引作業等の造園業者の工数は一般的壁面緑化より多くなります。

施主に維持管理契約を施工業者と施工時より結びことを義務とする必要が有ります。

 

13質問:壁面バラ緑化で推奨される品種特性は何が重要か?

回答:建築用途では、耐病性、耐暑性、返り咲き性、枝柔軟性、シュート更新力、が重要です。

特に日本の高温多湿環境では、黒星病耐性が維持管理コストを大きく左右します。

また、高所壁面では「暴れすぎない生育性」も重要です。

 

14:壁面緑化植栽ガイド

  壁面緑化植栽ガイド 壁面緑化で使用される植物の種類と特徴を写真解説付きで解説

 

15;壁面緑化設計ノート 

 壁面緑化のあらゆる疑問を解説したブログ

 

参考・引用資料

国土交通省
「建築物等の緑化技術に関する資料」

公益財団法人 都市緑化機構
「特殊空間緑化技術資料」

日本ばら会
「つるバラの誘引と管理」

NHK出版
「新版 バラ大百科」

近藤三雄 編著
「都市緑化技術」

公益財団法人 都市緑化機構 https://urbangreen.or.jp/

国土交通省 https://www.mlit.go.jp/

日本ばら会 https://www.rose-society.jp/

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