「IPCC」の解説
IPCCとは、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された政府間組織のことです。英語の「Intergovernmental Panel on Climate Change」の頭文字を組み合わせた言葉で、日本語だと「気候変動に関する政府間パネル」と訳せます。2021年8月時点では195の国と地域が参加している、大きな組織です。
もともとIPCCは、WMOの機関のひとつでした。しかし気候変動枠組条約の交渉にIPCCがまとめた報告書が活用されたこと、条約の実施に必要な科学的な調査を行う機関の設立が遅れたことなどが影響し、気候変動に関する情報を提供する重要な組織へと発展しました。
現在のIPCCは、各国の政府が気候変動に関する政策を考える際、科学的な根拠に基づいた政策を作るための情報提供を主な業務内容としています。報告書は世界中の科学者が協力し、文献や論文に基づいて定期的に作成しており、国際政治にも影響力があるとされています。
新しい調査や研究を行うのではなく、すでに発表されているものを評価するのが特徴です。この報告書は数年おきに発行されており、政策の策定の際に使うデータとして役立てられています。
IPCCには3つの作業部会(WG1・WG2・WG3)と、1つのタスクフォース(TFI)が設けられています。WG1の役割は気候システム・気候変動の評価、WG2は気候変動がもたらす影響や適応するためのオプションなどに関する評価、WG3は気候変動を緩和するためのオプションに関する評価です。TFIでは、温室効果ガスの国別排出目録の作成方法の策定・普及・改定を行っています。