「FIP」の解説

FIPとは、再生可能エネルギーの普及と主力電源化を目的とした政策のことです。「Feed-in Premium（フィードインプレミアム）」の略称で、再生可能エネルギーの発電事業者が市場で電力を売ったとき、売電価格に連動した一定のプレミアム（補助金）を上乗せします。欧州では早くから導入されており、日本でも2022年4月にスタートしました。

FIPは始まった背景には、2012年に導入されたFIT制度があります。FIT制度もFIPと同様にプレミアムを上乗せする制度ですが、市場価格に連動しておらず常に一定の金額でした。しかしこのままで市場価格が低いときに積極的に発電し、より多くのプレミアムを受け取ることもできたため、電力供給の安定化の実現が難しい状況でした。

そこでプレミアムの金額が市場価格と連動するFIPを導入し、市場価格の変化に関わらず電力を供給しやすくしたのです。プレミアムの金額は「基準価格（補助後の期待収入）-参照価格（市場取引等の期待収入）」という計算式で求められます。「参照価格」は1カ月単位で見直されるため、発電事業者は市場価格と合致したプレミアムを受け取ることが可能です。また、電力需要のピーク時に蓄電池を使って供給量を増やすと、インセンティブももらえます。

FIPの導入により常に一定の補助金を得られるようになったことから、発電事業者にはその補助金を使い、さらなる再生可能エネルギーへの投資が期待されています。加えて市場価格や需要を意識しながら発電することで、再生可能エネルギーの供給量の安定化や電力市場への統合を目指すことも可能です。