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壁面緑化設計ノート屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

<技術レポート> 壁面緑化ネットの科学 -樹脂ネットの安全性-

壁面緑化ネット工法は最も多く採用され実績も多く有ります

その理由は、「安い」「早い」「施工が簡単」と選択者・施工者双方にメリットが有りますが、壁面緑化ネットの「耐候性」「安全性」はよく判らない状態で決定されている傾向が有ります。

本レポートは、壁面緑化ネットの疑問について科学の面より解説いたします。

※本技術レポートは、個々に施工されるネット工事の安全性を担保するための資料ではありません。

採用・施工にあたっては各自の判断で決断される事をお願いいたします。

 

日本の屋上緑化が盛んになって25年を過ぎ、壁面緑化も同様の年数を経過しています。

これだけの期間を経過しても、壁面緑化ネットが脱落したというニュースはあまり聞かないのではないでしょうか?

一般に文献で紹介されているプラスチックが太陽光にさられた場所での耐候性は3~5年で半減し、10年たつとほとんど強度は無くなると言われていますが、実際にはこの年数を過ぎても実用されています。論文データと実際の違いはどこから生じているのでしょうか。

学術データが緑化ネットに使われるポリエチレンプラスチックの耐候性をデータは、3年曝露されると引張強度は50%以下に低下する事を示している。


出典:プラスチックエイジ VOL40 No7   1984

 

しかし、PEネットはゴルフの練習場で非常に広範囲に設置されていますが、破れ脱落した話はほとんど聞かないでしょう。

この疑問をネット技術に関する発行文献使い、壁面緑化ネットの科学を解説します。

 

 

目次

1壁面緑化ネットの耐候性

  1.主要な文献の要旨

  2. 公的な試験報告・研究文献の要旨

  3.壁面緑化ネットの試験表

 2樹脂ネット1本を作る撚り線の強度

 3紫外線劣化が撚り線に与える劣化

4なぜ緑化用ネットには樹脂単一線ではなく撚り線が用いられているのか?

  1.「曲げ剛性」と「応力」の問題

  2. 「サイズ効果」と欠陥の分散

  3.文献に見る緑化ネットに「撚り線」が良いのかの理由

  4.実際に緑化ネットになぜ「撚り線(ストランド)」が選ばれるのか?

     1.) 「曲げ」に対する応力の違い(材料力学の視点)

     2. )「結節強度(Knot Strength)」の差

     3. )「冗長性:じょうちょう(レッドンダンシー)」と安全性

     4.)摩擦による「再緊結(Re-termination)」効果

 5壁面緑化用ネットは「無結節網(むけっせつもう)」を使用しているのはなぜか?

  1.紫外線と「結び目」の関係

 6 なぜ壁面緑化ネットは「組み込み(無結節)」が主流か?

  1.軽量化

  2.コスト

  3.安全性(材料力学的視点)

 7壁面緑化ネットに荷重がかかった場合の変化

  1. 荷重分散のメカニズム(膜構造の理論)

  2.四方のどの位置にどの程度の強度がかかるか

  3.参考文献と内容

 8壁面緑化ネットの安全性は、外周ワイヤーの施工方法でも変わる

  1. 設置テンションと「初期応力」の問題

  2.外周ワイヤーのたるみ「角度」がもたらす張力の増大

  3.外周ワイヤーの「剛性」と結合部の疲労

  4.参考文献と実務指針

9壁面緑化に使用するPE「400D/60本 目合い100」ネットに適する植物について

  1.絡みつきやすい植物の種類と順番(非吸着型)

    第1位:巻きひげの力が強いタイプ(安定感抜群)

    第2位:茎が螺旋状に巻き付くタイプ(被覆力が高い)

    第3位:枝を網目に差し込んで保持するタイプ(要・初期誘導)

  2.「よく絡ませる」ための具体的な注意点

    1)「8の字」の初期誘導

    2) 剪定による「分枝(ぶんし)」の促進

    3) 重量の分散(400D/60本の活用)

  3.おすすめの植物選定プラン

 

1壁面緑化ネットの耐候性

 屋上緑化で用いられるポリエチレン製ネット「PE 400D/60本(400デニール・60本撚り)」は、防球ネットや防鳥ネット、工事用安全ネットとして非常にポピュラーな仕様です。

この製品の仕様に関する耐候性データを、主に日本繊維ロープ工業会や防球ネットメーカー(カネヤ、寺西喜など)、および化学繊維の劣化研究論文を元に耐候性について整理しました。

 

主要な文献

「合成繊維網の耐候性に関する研究」( 日本繊維ロープ工業会 技術資料)

「プラスチックおよび繊維の劣化・長寿命化技術」 (技術情報協会 ほか)

メーカーカタログの技術データ (カネヤスポーツ、ダイオ化成など)

公的な試験報告・研究文献

「合成繊維網の耐候性に関する研究」 発行元: 日本繊維ロープ工業会 / 日本繊維機械学会誌

「漁網用合成繊維の耐候性試験結果報告」 発行元: 水産庁 水産工学研究所(現:水産技術研究所)

「プラスチックの耐候性(改訂版)」

ポリエチレンプラスチックの耐候性をデータでは、3年曝露されると引張強度は50%以下に低下する事を示していましたが、400D/60本のPEネットにおける、SWOM(シャンシャインウエザオメーター)試験の劣化曲線データでは85%~90%の数値になり値が異なります。この差は以下の文献の要旨に有るUV吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、遮光顔料、撚り、線径により生じています。詳しくは各文献をご覧ください。

  1. 主要な文献の要旨

「合成繊維網の耐候性に関する研究」(日本繊維ロープ工業会 技術資料)

    • 内容: SWOM(サンシャインウェザーメーター)を用いた加速試験と、屋外暴露試験の相関を調査。
    • PE 400D/60本データ: 一般的な「有結節ネット」および「無結節ネット」の強力度保持率がグラフ化されています。

「プラスチックおよび繊維の劣化・長寿命化技術」(技術情報協会 ほか)

    • 内容: ポリエチレンに添加される**UV吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系光安定剤(HALS)**の効果を比較。
    • ポイント: 400D/60本のような太いネットの場合、表面劣化が内部に及ぶまでの時間が細い糸より長いため、形状による有利性がデータとして示されています。

メーカーカタログの技術データ(例:カネヤスポーツ、ダイオ化成など)

    • 内容: 自社製品のSWOM照射時間に対する「強力保持率」を公表。
    • 標準的な数値: SWOM 1,000時間〜1,500時間照射後の強度保持率が80%以上であることを品質基準としているケースが多いです。

  2. 公的な試験報告・研究文献の要旨

   「合成繊維網の耐候性に関する研究」

発行元: 日本繊維ロープ工業会 / 日本繊維機械学会誌

内容: PE 400D/60本の「有結節」および「無結節」ネットをSWOMにかけ、

2,000時間〜3,000時間までの強力度保持率を測定。

データの特徴: * PE(緑・黒)は、1,000時間経過時点で強力保持率 約85%〜92%。

    •  2,000時間経過で約75%〜80%。
    •  特に黒色(カーボンブラック配合)が最も高い耐候性を示すことがグラフ化されています。

「漁網用合成繊維の耐候性試験結果報告」

発行元: 水産庁 水産工学研究所(現:水産技術研究所)

内容: 漁網に使用されるPE糸(400D/30本〜120本)の劣化特性を調査。

データの特徴: 糸が太くなる(本数が増える)ほど、表面の劣化が中心部に及ぶまで時間がかかるため、

「400D/60本」は細い糸(400D/24本など)よりも保持率が高い傾向にあることが証明されている

「プラスチックの耐候性(改訂版)」

著者/編: 本山卓、塩原利夫 ほか(プラスチック・エージ社)

内容: 各種汎用プラスチックの暴露試験データ集。

データの特徴: PEネットに添加される**HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)**の効果について、

SWOM時間と残存強力の関係が詳述されています。

 

3.壁面緑化ネットの試験表

壁面緑化に使用されている緑化ネットの試験表です。引張強度は約2000N(約200kgf)の強度が有ります。

これが10cm間隔で縦横に通りますので、植物重さで切れる事はまずありませんが、経年変化による耐候性が低下して強度低下するのが安全性上最も関心を持つ点と言えます。

 

2樹脂ネット1本を作る撚り線の強度

 壁面緑化用ネットには、耐候剤・酸化防止剤が加えてありこの効果で30~50%耐候性が延長しますが、耐候性は一般に樹脂線1本の強度が重要な要素となります。

ネットの紐は数本の樹脂線を撚って作られています。

樹脂線を撚り合わせた紐の強度は、例えば単純計算(引張強度10N樹脂線を 3本)では 30Nと考えられますが実際には少し低くなる(約24N〜27N程度)のが一般的です。

一般的に、糸をより合わせてロープにする際の効率(利用率)は80%〜90%程度と言われているためです。

なぜ「単純な3倍」にならないのか?

紐をより合わせる(ツイストする)と、以下の要因で強度のロスが発生します。

  • 斜引効果(角度のロス): 紐をよると、それぞれの糸は真っ直ぐではなく「斜め」に走ります。引っ張る力に対して糸が斜めに向いているため、力が分散してしまい、100%の力を発揮できなくなります。
  • 不均一なテンション: 3本の紐を「完全に同じ長さ、同じ張り具合」でよるのは至難の業です。引っ張った際、わずかに短い1本にまず負荷が集中し、それが切れると連鎖的に残りが切れるため、合計値よりも低くなりやすいのです。

 

3紫外線劣化が撚り線に与える劣化

 紫外線による劣化は

合成樹脂で作った紐1本と、それを3本撚り合わせて作った紐では

同じ直径(太さ)のいう条件であれば、3本を撚り合わせた紐の方が、1本の単一構造(モノフィラメント)の紐よりも紫外線(UV)による強度劣化が早く進む傾向にあります。

一見、撚ってある方が強そうに感じますが、高分子材料(合成樹脂)の劣化メカニズムに基づくと逆の結果になります。

  • 比表面積(露出面積)の差: 3本を撚り合わせた紐は、光(紫外線)にさらされる表面積が大きくなり、光酸化反応がより広範囲で起こります。
  •  紫外線劣化は酸素光酸化との反応:撚り合わせた紐は繊維の間に隙間があるため、内部まで酸素や水分が入り込みやすく、化学的な分解が促進されやすい構造になっています。
  • 単一構造(太い1本): 表面が劣化しても、芯部(内部)まで紫外線が届くのに時間がかかるため、強度の保持率が高い。
  • 撚り紐(細い3本の集合): 構成している1本1本が細いため、紫外線が比較的短時間でその1本の芯まで到達します。構成要素である1本が破断し始めると、紐全体の構造的なバランスが崩れ、急激に強度が低下します。

このような事から 過酷な紫外線環境下では、撚り紐は単一構造の紐に比べ、1.2倍〜1.5倍程度の速さで破断強度(引張強度)が低下し始めるという実験データが多く報告されています。

 参考文献・根拠

この現象については、以下の公的機関や学術的な試験データが根拠となります。

  1. 日本ロープ工業会(JRA)技術資料: ロープの耐候性試験において、繊維の細さ(デニール)が細いほど、同一素材でも強度低下率が高いことが示されています。
  2. JIS L 1091(繊維製品の耐光性試験法)関連の研究: 合成樹脂繊維の暴露試験において、「比表面積の増大は光劣化を加速させる」という高分子化学の基本原則に基づいています。
  3. 大倉公園・屋外暴露試験報告(高分子劣化の研究): プラスチックの形状と劣化速度の関係について、厚みがあるもの(単一構造に近い)ほど、内部の未劣化部分が強度を支えるため、寿命が長いことが実証されています。

 

4なぜ緑化用ネットには樹脂単一線ではなく撚り線が用いられているのか?

これまでの「引張強度」や「紫外線耐性」の議論だけを見ると、太い1本の棒(モノフィラメント)の方が優秀に見えます。しかし、現実の「ロープ」として運用する場合、「柔軟性(曲げ)」と「破断の予兆(安全性)」の2つの決定的な要素により、撚り線(ストランド構造)が圧倒的に有利になります。

 

1.「曲げ剛性」と「応力」の問題

本の太い棒(直径 D)と、それを3本(あるいは数百本)に分けた束では、曲げた時にかかる負荷が全く異なります。

  • 単一の太い線の場合: 曲げた際、外側には非常に強い「引張応力」が、内側には強い「圧縮応力」がかかります。材料力学において、曲げ剛性は直径の4乗に比例するため、太い1本は非常に硬く、無理に曲げると表面に亀裂(クラック)が入り、ポキッと折れてしまいます。
  • 撚り線(集合体)の場合: 細い糸の集合体であるため、一本一本が自由にわずかにズレ動くことができます。これにより曲げに対する抵抗(剛性)が劇的に下がり、滑車(プーリー)に巻き付けたり、結び目を作ったりすることが可能になります。

 

2.「サイズ効果」と欠陥の分散

統計材料力学において、「サイズ効果(Size Effect)」という概念があります。

  1)理論: 「材料は大きければ大きいほど、致命的な欠陥(微細な傷や気泡)を含む確率が高くなる」

        という考え方です。

  2)ロープへの応用: 太い1本の紐に一箇所でも深い傷が入れば、そこから一気に破断します。しかし、

    細い線を多数撚り合わせたロープなら、数本が傷ついて切れても、残りの健全な線が荷重を支え続けます。

    これにより、「突然バチンと切れる」リスクを回避し、段階的な劣化として察知できるのです。

 

3.文献に見る緑化ネットに「撚り線」が良いのかの理由

  多くの学術文献や技術標準において、撚り構造の優位性が説かれています。

  1)『ロープの力学』(著:C.R. Chaplin等): ロープの設計において、撚り(Twist)は個々の繊維を拘束し、

    摩擦によって荷重を共有させる役割を持つとされています。これにより、一部の繊維が切れても、

    摩擦力によって数センチ先では再びその繊維が張力を分担できる(再緊結効果)と述べています。

  2)ワイヤロープ等のJIS規格(JIS G 3525等): 鋼索(ワイヤロープ)の解説でも、単一の太い鋼棒ではなく

    細い線の集合体する理由は、「耐疲労性(繰り返し曲げへの強さ)」を確保するためであると明記されています。

 

4実際に緑化ネットはなぜ「撚り線(ストランド)」が選ばれるのか?

   1.「曲げ」に対する応力の違い(材料力学の視点)

    ネットは風や力により曲げが発生します。このとき、内部では「曲げ応力」が発生します。

   1)太い1本(モノフィラメント)の場合:表面にかかる最大歪み ϵ ϵ=紐の半径r/曲げ半径R で表されます。

     紐が太い(r が大きい)ほど表面に強大な負荷がかかり、材料の弾性限界を超えて亀裂(クラック)が

     入りやすくなります。

   2)3本撚りの場合: 全体の直径が同じでも、個々の繊維の半径 r は非常に小さくなります。そのため、

     同じ半径 R で曲げても個々の繊維にかかる負担は劇的に小さくなり、柔軟に曲がることができます。

 

  2.「結節強度(Knot Strength)」の差

    ロープは「結んで」使うことが多いですが、結び目を作ると強度は必ず低下します。ここでも撚り線の構造が

    有利に働きます。

   1)1本線: 結び目の急峻なカーブで表面に強烈な応力が集中し、そこからポキリと「折れる」ように

         破断します(これを脆性的な挙動と呼びます)。

   2)撚り線: 結び目の圧縮負荷がかかった際、撚り合わされた繊維同士が互いに形を変えて「潰れる」ことで、

         接触面積を増やし、応力を分散させます。

   繊維学会誌などの報告によると、モノフィラメントの結節強度は直線引張強度の30%〜50%まで落ち込むことが

  ありますが、マルチフィラメント(撚り線)では構造的なクッション性により、より高い保持率を示すことが

  一般的です。

   3.「冗長性:じょうちょうせい(レッドンダンシー)」と安全性

    ネットに撚り線が使われる最大の理由は、「致命的な故障(断裂)を回避できるか」というリスク管理にあり

    ます。

    撚り線は、1本が傷ついて切れても、他の2本(あるいは数百の繊維)が健全であれば、ロープ全体が即座に

    破断することはありません。

   4.摩擦による「再緊結(Re-termination)」効果

    これはロープ固有の非常に面白い特性です。

    撚り構造の特性: 撚り合わされたロープの中では、繊維同士が強い側圧で押し付け合っています。もし内部で

    1本の繊維が切れたとしても、そこから数センチ離れた場所では、周囲との摩擦力によって再びその繊維が張力

    を負担できるようになります。

文献: C.R. Chaplin, “The mechanics of wire rope” 等では、この摩擦による荷重移動を「スラックの吸収」として

説明しており、これがロープに驚異的な粘り強さを与えています。

 

 

 

5壁面緑化用ネットは「無結節網(むけっせつもう)」を使用しているのはなぜか?

  壁面緑化用ネットの紐は結んで作る「有結節網(ゆうけっせつもう)」と、機械で繊維を絡ませて作る

 「無結節網(むけっせつもう)」があります。

  . 無結節網(Knotless Netting)とは

  撚り合わせる段階で、紐同士を交差させて一体化させたタイプです(ラッセル網や撚り合わせ無結節など)。

  • 強度の特徴: 紐が急激に曲がることなく、スムーズに力が伝わるため、有結節網に比べて強度が約20%〜30%高いのが最大の特徴です。
  • メリット: 結び目の「こぶ」がないため軽量で、表面が滑らかです。流水抵抗も低く、魚などを傷つけにくい。
  • デメリット: 一度破れると、網目がバラバラと解けやすい(伝線しやすい)性質があります。

 

    

   無結束線         有結束線

 1.紫外線と「結び目」の関係

有結節網の場合、結び目の内部に砂や汚れが溜まりやすく、それが紫外線を吸収したり、繊維を物理的に傷つけた

り(内部摩耗)することで、長期的な劣化が早まることが指摘されています(参考文献:『水産綱漁具学』)。

一方で、無結節網は構造が均一なため、紫外線による劣化も網全体で均一に進む傾向があります。

 

6 なぜ壁面緑化ネットは「組み込み(無結節)」が主流か?

  現代の工業用ネット(防球ネット、落石防止ネット、漁網)では、以下の「効率」が重視されるため、

無結節が主流です。

  1.軽量化: 結び目がない分、同じ面積なら重量を20%〜30%削減でき、支柱への負担を減らせます。

  2.コスト: 1本の紐から連続して編み上げるため、材料のロスが少なく、製造速度も速い。

  3.安全性(材料力学的視点): これまでの回答で触れた「1本の太い線より撚り線」という理論と同様に、

無結節網は「応力集中」を極限まで排除した構造であるため、材料の持つ本来の強さが出せる。

まとめ

  • 強さを最優先し、軽量で流水抵抗を減らしたいなら、「組み込み(無結節網)」

「同じ太さの紐」でネットでは、無結節(組み込み)タイプの方が理論上も実測値も強いといえる。

 

7壁面緑化ネットに荷重がかかった場合の変化

 

壁面緑化ネットの 外周は、 太い外周ワイヤーにカガリにより取り付ける形で緑化ネットが 組み合わされています。

ネットが外周ワイヤーに対して、 ネットがカガリしている縦紐が10本、横紐が10本のネットの場合、ネット中心に下向きに100Nの強度がかかった場合、ネットの紐にかかる 強度の分散は中心に近い紐ほど大きな負担がかかり、四隅に向かって荷重が減衰していくという不均一な分布になります。

重要な点:外周ワイヤーがどれだけ緩みなく張られているかで結果が変わります。

  1.荷重分散のメカニズム(膜構造の理論)

ネットは「膜(メンブレン)」としての性質を持ちます。中央に荷重 P がかかった際、その力は網目を通って

四方の外周紐(エッジロープ)へと伝わります。

   中央の紐: 荷重の直下にあるため、直接的に引き伸ばされ、最大の張力がかかります。

   端に近い紐: 中央から離れるにつれて、荷重による変形量が小さくなるため、分担する力も小さくなります。

  2.四方のどの位置にどの程度の強度がかかるか

縦10本・横10本の網目の場合、理想的な弾性体として計算すると、以下のような分布特性を示します。

    最大張力点(中央の紐): 全荷重の約15%〜20% 程度が、中央の1〜2本の紐に集中します

(1/10=10%よりも高くなります)。

    外周ワイヤーへの伝達: 荷重は「十字型」に強く伝わります。つまり、 四方形の「各辺の中央部」

              最も大きな引抜力がかかり、「四隅(コーナー)」には比較的小さな力しか到達しません。

  3.計算例(100Nの場合):

中央を通る縦紐1本にかかる力:約15N 〜20N

端の方の縦紐1本にかかる力:約2 〜5N (※網のたわみ角や素材の伸び率により変動します)

 

  4.注意点:外周ワイヤー(枠)の剛性

ネット式壁面緑化で見られる「太い外周ワイヤーにネットがカガリ付けされている」構造の場合、

    外周ワイヤーがどれだけピンと張られているかで結果が変わります。

    外周ワイヤーがピンと張られ強固な場合: 荷重は計算通りネット全体に分散されます。

    外周ワイヤーがたわむ場合: 外周紐自体が中央に引き寄せられるため、ネット中央の紐への負担がさらに増大

  5.まとめ

    1/10にはならない: 中央の紐には平均以上の荷重(15〜20%程度)が集中するため、

設計時は余裕(安全率)を見る必要があります。

    力の出口: 外周紐の「各辺の真ん中」が最も強く引っ張られます。

 参考文献と内容

ネットの力学は、「不連続なケーブルネットワーク理論」または「膜理論」で近似されます。

  1. 『膜構造の設計基準・同解説』(日本建築学会): ネットを連続的な膜として捉えた時の応力分布についての基礎理論が記載されています。
  2. 『落石防護網工の設計施工指針』: ネット(金網や繊維ネット)に衝撃荷重や静荷重がかかった際、外周紐(吊り綱)への荷重分担率がどのように変化するか、実験データに基づいた設計値が示されています。

 

8壁面緑化ネットの安全性は、外周ワイヤーの施工方法でも変わる

壁面緑化では、ネット固定ピンの距離と固定強度で決まり、通常5m程度で外周ワイヤーの「張り具合」は、

設定されています。

この時の外周ワイヤーの張り具合はネット全体の寿命と耐荷重に大きな影響を与えます。

実際には、「パンパンに張れば張るほど、ネットは弱くなる」という逆説的な現象が起こります。

材料力学的な視点から、その理由と設置のポイントを解説します。

  1.設置テンションと「初期応力」の問題

ネットを設置する際、外周ワイヤーを強く引っ張ると、ネットの各紐には荷重がかかる前から

「初期引張応力」が発生します。

  • 強く張った場合: ワイヤーがすでに限界近くまで引き伸ばされているため、ネットに荷重がかかった(10kgf)が係った瞬間に「遊び(余裕)」がなく、ダイレクトに破断点へ達します。
  • 適度に緩めた場合: 荷重がかかった際にネットが大きくたわむことで、力を吸収する「ストローク」が生まれます。

  2.外周ワイヤーのたるみ「角度」がもたらす張力の増大(ベクトル計算)

最も重要な点は、ワイヤーを引張り水平(直線)に近づけようとすればするほど、

物理法則によりワイヤーにかかる張力は

   無限大に向かって増大します

   計算例:100Nを支える場合

  •  たわみ角 30° のとき: T=10/(2×0.5)=100N
  •  たわみ角 5° のとき: T=10/(2×0.087)≈570N

わずか 100N の荷重でも、水平に張ろうとするだけで、ワイヤーには 5.7倍もの負荷 がかかってしまうのです。

 

  1. 外周ワイヤーの「剛性」と結合部の疲労

ネットの端部が外周ワイヤーに「カガリ付け」されている構造の場合、外周ワイヤーがたわむことで、

ネットの縦紐・横紐にかかるストレスをさらに分散してくれます。

  • 外周ワイヤーなどの硬いものにする場合: ネットの結合点に「逃げ」がなくなり、結合部の繊維が剪断(せんだん)ストレスで摩耗しやすくなります。
  • 外周ワイヤーを柔軟な繊維ロープにする場合: ネットと一緒に外周ワイヤーも変形するため、応力が一点に集中するのを防ぎます(これを「協調変形」と呼びます)。

 

  4.設置現場での実践

    1)「遊び」を持たせる: ネットを設置する際は、中央が少し自重で垂れるくらいの余裕を持たせてください。

    2)外周ワイヤーの選定: ネットの紐よりも 2〜3段階太い、耐候性の高い「撚り線」の外周ワイヤーを使用し、

結合部(撚り込み部)の摩擦を減らすために定期的にシリコンスプレーなどで

メンテナンスするのも有効です。

    3)角の補強: 四隅の角(コーナー)は最も外周ワイヤーに負荷がかかる点ですので、

ここだけは「カガリ止」だけでなく、別のロープで二重に補強(増し締め)することをお勧めします。

  6.まとめ

壁面緑化ネットの強度は、単に「紐の太さ」だけでなく、いかに上手に外周ワイヤーをたわませて力を逃がすか

という設置技術に依存します。

    参考文献と要旨

  •  『建築工事安全施工技術指針』(国土交通省監修): 安全ネットの取り付けにおいて、適正な「垂れ(たわみ)」を確 保することが義務付けられています。
  • 『索道工学ハンドブック』: ケーブルやロープの張力とたわみの関係(カテネリー曲線)についての詳細な計算式が示されています。

  実践的なアドバイス

  1.「遊び」を持たせる: 壁面緑化ネットを設置する際は、中央が少し自重で垂れるくらいの余裕を持たせる。

  2.外周ワイヤーの選定: ネットの紐よりも 2〜3段階太い、耐候性の高い「撚り線」の外周ワイヤーを使用する。

  3.角の補強: 四隅の角(コーナー)は最も外周紐に負荷がかかる点ですので、

ここだけは壁面緑化ネットを「カガリ止め」だけでなく、別のロープで二重に補強(増し締め)することをお勧めします。

  まとめ

     ネットの強度は、単に「紐の太さ」だけでなく、「いかに体裁よく上手にたわませて力を逃がすか」という

     設置技術に依存します。

 

9壁面緑化に使用するPE「400D/60本 目合い100」ネットに適する植物について

  壁面への「吸着型(吸盤や気根で壁に直接張り付くタイプ:ヘデラやナツツタなど)」を除外し*「巻きひげ」や

 「茎の巻き付き」によってネットを掴む植物に限定し、目合い100mm(10cm)という大きな網目に対し、

 自力で効率よく登っていける植物を、絡みやすさの順に植物を紹介します。

 

  1.絡みつきやすい植物の種類と順番(非吸着型)

    目合い100mmの「400D/60本」という太い糸をしっかりと掴める力が強い順です。

 第1位:巻きひげの力が強いタイプ(安定感抜群)

    自ら細い「手」を伸ばしてネットの糸を捕まえるグループです。

    植物例: クレマチス(特にセンニンソウなど)、トケイソウ、ハナカズラ

    理 由: クレマチスは「葉柄(葉の根元)」がネットをくるりと一周して固定するため、

       10cmの隙間があってもネット糸さえあれば確実に定着します。

 

クレマチス                トケイソウ

第2位:茎が螺旋状に巻き付くタイプ(被覆力が高い)

    茎自体がネットに絡みつきながら上昇するグループです。

    植物例: スイカズラ(ハニーサックル)、ツルハナナス、アケビ、カロライナジャスミン

     理 由: 茎が比較的太くなるため、400D/60本の太い糸を「抱き込む」ように登ります。

        一度絡むと強風でも外れにくいのが特徴です

 

スイカズラ             ムベ・キウイフルーツ

 

カロライナジャスミン           ツルハナナス

第3位:枝を網目に差し込んで保持するタイプ(要・初期誘導)

    自力で巻き付く力は弱めですが、成長が早く、ネットに引っかかりながら登るグループです。

        植物例: モッコウバラ、ツルバラ類

         理 由: トゲや横に広がる枝が100mmの網目に引っかかります。自力で巻き付くわけではないので、

      人間が網目に枝を編み込む必要がありますが、一度定着すれば壁面緑化として非常に強固です。

 

モッコウバラ          ツルバラ

  2.「よく絡ませる」ための具体的な注意点

    緑化ネットの目合い100mmは、植物にとっては「次に掴む場所が遠い」状態です。3つのコツがあります。

   1)「8の字」の初期誘導

     植物がネットに届いた際、そのままにすると網目をすり抜けて手前に倒れてしまいます。

     方法: 最初のツルを、網目の前後を通るように「波縫い」状に手で通します。

     注意: 10cmの隙間を埋めるように、斜め方向(45度)にツルを導くと、壁面が早く埋まります。

   2) 剪定による「分枝(ぶんし)」の促進

    ツル植物は放っておくと上へ上へと伸び、下のほうがスカスカになります。

    コツ: ある程度登ったら、先端を少しカット(芯止め)します。すると脇芽が出て、横方向へ広がるツルが増え

       100mmの大きな網目を効率よく塞いでくれます。

       株元に地被植物を植えます。:ハーブ類、タイム、芝桜、ヒューケラ、ワイヤープランツ、ヘデラ

    2) 重量の分散(400D/60本ネットの活用)

      PE 400D/60本は非常に強いため、植物が大量に茂っても切れる心配はほぼありません。

      注意: ただし、100mmの目合いだと植物の重みが一点に集中しがちです。ネットを張る際は、

         上下左右にしっかりとテンションをかけ、外周ワイヤーにたるまないように固定してください。

         ネットが揺れると植物の「巻きひげ」が擦れて切れてしまうのを防げます。

 

  3.おすすめの選定プラン

  • 「花のカーテン」を作りたい: クレマチスとカロライナジャスミンの混植。
  • 「目隠し」を重視したい: 常緑のスイカズラ、モッコウバラ。
  • 「手入れを楽にしたい」: 巻きひげが勝手に掴んでくれるトケイソウ。

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