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キリンソウと四季の彩り日記屋上緑化システム株式会社
技術顧問 山下 律正

調査報告  新芽がラセン成長するツルマンネングサの生育経過

2018年 日本芝草学会 春大会口頭発表 調査報告

ツルマンネングサ変異種 イイジマ2 

新芽がラセン成長するツルマンネングサの生育経過

山 下 律 正 *

* 屋上緑化システム株式会社 技術顧問       

キーワード:セダム、ツルマンネングサ、変異種、生育 

Growing process for spiral form type Sedum, a variable species of Sedum sarmentosum

* Visiting Researcher, Department of Environmental Creation, Faculty of Environment, Tokyo City University

Key words: Sedum, Sedum sarmentosum, a variable species, growth

 

要旨:イイジマ2ラセンツルマンネングサは新芽のラセン巻成長する枝変り種として発見した。本変異種は原種であるツルマンネングサに比べ特異的な特徴を示す事が判った。冬至芽の伸長開始後より開花期にかけて、新芽の展開がラセン状に伸長する。開花期以後ラセン巻は解消される。生育に従い葉形の変化し、ツルマンネングサの特徴からメキシコマンネングサ、オノマンネングサに近い立ち性に移り耐旱性を持っている。四季の生育はツルマンネングサと同じく冬期は落葉し冬至芽で越冬する。

 1.研究目的

セダム類の認知は都市のヒートアイランド対策への緑地の増加による緩和を目指した屋上緑化の展開と共に広がった。セダム種は自然界においては、薄層土壌、塩害、旱性環境等の過酷な環境に自生する多肉植物である。この環境耐性に着眼して、無潅水屋上軽量緑化用途の植物として着目され利用されている。現在利用されているセダム品種としては在来品種としてタイトゴメ(S. oryzifolium)、帰化植物とされるツルマンネングサ(S. sarmentosum)、産地不明のメキシコマンネングサ(S. mexicanum)、外来種よりアルブム類(S. album)、パリダム(S. pallidum)等が挙げられる。中でも、ツルマンネングサは地這い性を示し、早期の緑化景観が完成する特徴が有る。

ツルマンネングサはこれまで原種を利用しての緑化であり、種の環境耐性を超した環境、用途では枯損・衰退が生じ種の特性と要求の不適合を承知で利用されることが見られた。改善するために品種改良が試みられてきたが、色変化の新品種申請は行われたが生育形態についての新種申請はこれまでなかった。本新芽ラセン成長ラセンツルマンネングサは下垂させると30cm程度まで伸びるが頂芽部は上向きに成長する。茎はツルマンネングサの2倍程度太く、20cm程度まで直立成長する。下葉は成長に伴い地際より3/1程度は落葉する。これにより株内の通気が改善され酷暑、晴天高温時の夕立による蒸れ現象に対し通風による高温多湿環境が緩和され耐性が出る。本変異種は原種であるツルマンネングサとの特異的な特徴を示す。

1)葉形は成長に従い、Ⅴ型から1型に変化する。

2)伸長する新芽及び側芽から形成される葉形がラセン巻を開花期付近まで示す。

3)草姿は直立性を示す。

4)下垂伸長可能

5)耐旱性がツルマンネングサに比べ高い。

 2.調査内容ならびに方法

これらの性質は屋上緑化等の特殊環境に設置される緑化へ有効である。

その可能性について、1 草姿  2繁茂力  3耐高温性  4耐低温性  5耐蒸れ性について検討し、利用の可能性について検討を行った。

 3.結果ならびに考察

利用可能性に関する調査結果は、下表のとおりである。

1  草  姿    立ち性となる。

2  繁 茂 力    コロニー状の繁茂形態となる。

3  耐 旱 性    2017年の酷暑に枯損無く耐える。

4  耐低温性    2018年1月~2月の低温に耐える。

5  耐蒸れ性    2017年の酷暑に枯損無く耐える。

ツルマンネングサを緑化に使用した場合の欠点であった耐旱性、耐蒸れ性について耐性の有る新品種と評価できる。成長後草姿においては、ツルマンネングサよりメキシコマンネングサ、オノマンネングサに近い形態となる。

ラセン巻枝変り種  右:生育株に見られるラセン巻状態2017年4月24日

2017年7月25日 草姿

2018年2月21日 冬期冬至芽状態

引用文献

1) Kentaro IIJIMA(1999):A new form of Sedum sarmentosum Bunge, Sedum Society Newsletter, No.48, pp.27-28

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